吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

将来の夢など在るわけがない園児

子供の頃の話。

わーわーわー。子供達は意気揚々と未来の自分を夢見てた。かくいう私が何も目的はない。齢5歳にして未来に希望など持てないと達観していたのです。
冷たい床。それを知ってるから。誰もが私を迂回して大人びた私の言動浮ついて。ひたひたと歩いたあの廊下。冷たい。カスタネットを私は壊して、でも、そこで誰も非難しなかったから、私は大人は簡単だなんて思った。あのとき確かにそう思った。大人を騙すのは赤子の手をひねるのと同じくらいだって、そう、思ってた。
不気味なくらいかわいいかっこうをさせられてたあの時の私の右腕には既にサボテンのとげが刺さっていて、紫に不気味に変色していました。残念ながら私は転んだって平気で涙も浮かべない気丈な気味の悪い子供だったので。先生の膝にゲロを吐いて意志表示したあの日の事、ちゃんと覚えてる。ねんどの冷たさも。こっちに向いた蛇口のことも。蝙蝠が死ぬあの窓のことも。鮮明に覚えて匂いさえも。クレヨンの匂いさえも。私は病んでいたかも知れない。でも、それがせいいっぱいだったと。今は抱きしめてあげたい気分。

悪魔のカーニバル

世界の終わりの映画を撮ってる。私はエキストラで参加している。吉祥寺の東急の肉のサトウの道の隣のまっすぐをすべていただて、ぐーんと全部、殲滅しちゃってます。まるで何もない。それで店の自動ドアから次々出てくる阿修羅と仏像と甲冑の騎士が混じったフリークスの勇者???がそのまままっすぐ行進してすべて焼け野原。ぼうぼうと燃えたぎっている甲冑。熱々になって焼き肉でもジュウと焼けるくらいの真っ赤な甲冑。囂々と。千手観音の手のひらが、私たち無関係な人間を平手打ち。それでもまるで無関係な顔をしてずんずんと進んでいく。そのあとに現れるのは透明な羽を持った昆虫人。フェアリーと言えばファンタジー。でも、これは現実なのでただ、奇妙な気味の悪い趣味の悪さと合点。現れたるその人は人面鳥のハーピーハーピーの羽音はやたらうるさくってバタバタと悪あがきするみたいに空を飛ぶ。その後をマネキン人形のニンフと紳士が手を取り合ってハッピー。ウェディングドレスに包まれてる。けれどそのドレスはエースコックの即席ワンタンで出来ている。ブーケはワンタン。カップワンタン。髪飾りはきれいなワンタン。さあ、誰がそのワンタンブーケを手に取るの!?
そんなもんはいらないと一瞥して、駆けて逃げる。
その先は、ジャングル。鉄格子の垣根を抜けて、戦車に乗って私は代官山へ向かう。代官山もすべてが壊れてただ、一つ、まっすぐなまるで灯台のようなビルだけが残っていた。そのビルの階段を上る。昇っていく。すると昇った先はデパートになっていた。世界はすべて終わってしまったので食べ物も何もない。何もないから、仕方なしにそれぞれがコミュニティを作って、勝手気ままに生きていた。私は見知らぬファミリーと合流。ぐつぐつと知らない食材、煮てる。空豆みっつに水をあげる。すると空豆はどんどん育っていきます。空豆の一つはガマカエルになって、その下には食虫植物・蠅取り草になります。それらが水のやりすぎでくたばって腐って枯れてしまったあとに残った藻一つの空豆が発芽。パイシートのシチューみたいになる。膨らんで膨らんで膨らんでくパイ。その頭をスプーンでぽんぽん叩く。たたき割るとその下からぷんと臭う、それは足に裏のにおいみたいな空豆のスープ。シチューは熱々。ああ、でもこれは植物しかありません。動物性タンパク質が足りないのです。圧倒的に足りません。
私は家族を残してフロアーを彷徨く。それでその家族の兄弟の袂を分かった兄弟の一人に会う。兄弟ってもお姉さんだが。お姉さん一味はその場で屠った豚をベーコンにしてしまってた。私の手には何がある?なにかとなにかをぶつぶつ交換したいのです。その旨お姉さんに声をかける。するとお姉さん。予想外の答えで私を惑わす。

このデパートの前の道は全てなくなってて、崖になっています。
私たちの少しだけの存在圏以外は、すべて抹消されています。
私たちはちょっとだけの運命を受け入れて、ほそぼそと暮らすしかないのかな?

「きみのファミリーに居る男の精子をビニール袋に入れて持ってきて欲しい」

なまあたたかいそれを所望。近親相姦は人類初めての罪?私の頭はぐるぐる。あってはならない事実と私は仰け反るが、彼女の瞳は本気である。罰当たり!それも覚悟で!?って当たり前!?で、どうしたかって。私はすごすごとあの場に戻って、その場の誰かに私はその旨を伝える。するとそれも仕方なし、それよりも目の前のベーコンが必要だなんて言う。でも、目の前でぐつぐつ煮えてる豆のスープを私は一口。それはとてもとても美味しい味で。ベーコンなんて入らないんじゃないかって、思います。