吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

内田雄駿/ミルク

http://www.kawade.co.jp/bookdata/bookdata.asp?ISBN=4309728286
「天才、登場!恐るべき才能を秘めた超大型新人、衝撃のデビューアルバム
九龍編集部がすべての漫画読みに送る大大大自信作!期待の超新星が描く傑作6編プラスおまけまんが付き!!」
なんだか、すごい。そしてこの帯のテンション・・・これは一体!?根拠のない自信に満ち満ちた一言一句。この作者はなにかすごい賞でもとったり、なんだかすごくもてはやされている人なのだろうか。そこそこ漫画を読む私だがそんな事実はまるで知らない。何故だ・・・私はこの天才君のことをまるで知らないのだろう・・・。そう思い、漫画を手にとった。さて、漫画の話はおいておいて、編集者がスゴイ!帯からも既に違和感を感じたと思うが、私の直感は間違いではなかった。解説読んでいてずっきゅんずっきゅんきちゃったので、抜粋してみる。

この世界に満ちた残酷と光/島田一志(編集者)
恐るべき新人の登場----今から数年前、ヤングサンデー編集部の世話になっていた俺は、持ち込みに来た内田雄駿にはじめて会ったとき、秘そかにそう感じたものだ。(中略)当時、彼はコミックの専門学校に通っていたそうだが、そのネームの
才能は誰かに教えられたものではないだろう。天才、なんて書くと陳腐になってしまいそうだからやめるけど、とにかく内田雄駿には生まれながらのずばぬけたセンスが備わっている。
つーわけで、俺は、彼にガタガタ指導めいたことを言うのをやめた。ずっとそのままで、描きたいことを描いていってくれ。担当編集者としては失格かもしれないが、直感でそう思った。
結果は、まあ、うまくいってるほうだとは思うよ。今回、異例の単行本デビューも果たしたわけだし。
特に最近の彼の作品を読んでいて思うのだが、日常に潜む凶器あるいはささやかな愛や希望を描かせたら同じ世代で右に出るヤツはいないような気がする。田島昭宇浅田弘幸のデビュー当時の雰囲気を思い出す、なんつーのは言い過ぎか?
(中略)『あいつ』。未発表作品。デビュー前後に描いたものと思われる。思われる、というのは、ぶっちゃけて言うと、作者も担当編集だった俺もこれがどういういきさつで描かれたものなのか、すっかり忘れてしまったという、ある意味問題作。「未知の力を使ってヒロインを救う」という展開は、後に描かれた『西川くんの超能力』につながるものがある。オチが良い。
『復讐倶楽部』は(中略)けっこうネット上とかでも話題になっていたらしい。ま、これについては続編も企画中である。
そして『たえこ』。「YS賞」奨励賞受賞作。(中略)
さて、その「おまけまんが」は読んでいただけただろうか?全体的に暗めなホラー作品の多い本書であるが、あの「おまけ」作品を読んで、俺は何か「光」のようなものを感じた。あたりまえだが、人は暗いだけじゃない、人は、残酷だけじゃないんだ。
「九龍」2号に掲載されたインタビューで内田雄駿はこう語っている。「これからはもっとポジティブな作品も描いていくつもりです」と。そして、「もっと、いろんな作品も描いていくつもりです」と。オーケー。ついていきますよ、先生!ま、気長にいきましょうや。
二〇〇二年九月十一日深夜

揚げ足をとるようで申し訳ないが、一言言わせてもらいたい。この編集者、百害あって一利なし・・・内田君、とりあえずその編集と手を切るところからはじめてみないかい?