吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

寿司、プリーズ!―アメリカ人寿司を喰う/加藤裕子(読了)

ISBN:4087201376
シャキッと炒めるを英語で言うと、と著者。相変わらずちくりとした無関心な悪意を感じるつつも非常に淡々と的確に描写されていて、文というのはこうやってイマジネーションを起こさせた方が勝ちなんだよなーと変なところで感心してしまう。アメリカ人の寿司シェフを通して日本人の差別意識などさらりと流すのだが、読んでいて自分の厚顔無恥さを思い知らされた。知ったかぶるわりにはほんとうに日本人は寿司のことを知らない。なのに外人の作った創作日本料理にとやかくいいたがる。ああ、この感じなんだろうと思ったらオタク外人に対するなまあたたかい目と同じではないか、と気が付かされた。無自覚な差別というのは無自覚なまま人を傷つけることなんだと思う。先入観を持って接すると本当にいいものを逃す。くだらない偏見や差別意識は良質なものを知る妨げになるだけなので気をつけたほうが得だと思った。
あと、努力して勉強している人や未熟な者を笑ってバカにしているとうさぎと亀の要領でいつのまにか立場が逆転するから先を走っていたとしても努力することをやめたらおしまいだなあ。と思った。さげすむのは簡単だが学ぶのはムズカシイという話。いや、違う。