吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

今、読みたい漫画

・デッド・トリック! 上・下巻/華倫変
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4063348105/hatena-22/ref%3Dnosim/249-6412098-1411532
新宿のルミネの最上階にあるスタバ併用のおしゃれ本屋を周遊していたら華倫変の新刊が出ていたのに気が付いた。普段は駅ビル内の大手本屋でいたずらにポイントを貯める私だが最低でも月に1回は視察と称しておしゃれ本屋に行くようにしている。大手の人気の本ばかり読んでいると、名作をとりのがす畏れがあるので、主に新人などのチェックに行っている。
ルミネの上の本屋は立ち読みができるので、マンガのチェックには最適。特に大手本屋に平積みされていないような大判の本がふんだんにあるので、買いそびれたマンガにぶちあたることが多い。あと、なんとなく気になっているけど買う気が起きないマンガとか。
で、華倫変なんだけど、読みたいんだけど買う気がしない。家にあるのがイヤなマンガ。好きなんだけど家に置いておく不条理な不運に見舞われそうな気がしてしまうので買えない。また、華倫変好きの友達に借りようかなあーと思っている。せめて文庫になったら呪いも少しは軽減される気がするが、あり得ないので一生、華倫変のマンガは読んでも買うことはないかも知れない。
同じような理由で好き(というか影響を受けた)だけど持っていないマンガ家は楳図かずお(夜おばけが出てきそう)、根本敬などが上げられる。どれも友人に借りたり、貸本屋で借りたりしてやりすごしている。

・愛しのアイリーン/ 新井 英樹
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3d4d2a2b0f0810106cfd?aid=p-akitanet37946&bibid=02385330
絶版になっていた新井英樹のアイリーンが復刊していた。上下刊で作者のコメント付きなのでうっかり買いそうになるが必死で探して見つけた単行本があるくせにと思い、買うのを諦める。
アイリーンは1巻の淡々としたいつまで続けるんだと思わせる田舎描写、死んだお父さんの揺り椅子が映る一コマでドット泣いた。新井マンガは暴力的に感涙させられるので畏ろしい。
ソクーロフの作品にマザーサンというやはり、アイリーンと同じ「母親の死」をテーマに描かれている映画があるが、あれはロシアの作品のため、母親に対する思慕の想いが日本人の私としてはイマイチ、ピンとこなかった。さすが死体と添い寝したり、親の死体を人形にしてずーっと一緒に居るという風習がある*1ヨーロッパ圏の考える愛情は日本人からみるといびつな愛に見えるものだ。
アイリーンを読んでそれに気が付いたのであった。

で、豪華本とかになると決まってオマケがつくだろうからチェックしたら、新井英樹による登場人物への思いの丈が書かれていて、うわー!やっぱり買おうカナアー!!!とまた、気持がざわざわする。ああ、どうしよう!買いそうだよ。ママン。この新井英樹という人は暑苦しいくらい愛がある人で、「○○の幸せを願う!」とか「こいつの人生で一言「愛されたいなぁ」とつぶやかせたい!」とか平気で書いているので照れくさく鬱陶しく恥ずかしく思うけれどそこが感動させるポイントなのかと思ったりする。新井英樹がいくら不幸なことを描いてもぜんぜんまったくかわいそうと思えない。
しかし、同じ年代でやっぱり子供もいるマンガ家・さそうあきらが同じテーマで描くともっと不条理で怖いマンガになると思う。さそうあきらの描く死体はどんなホラーマンガのそれよりもリアルな面、いっそう怖い。新井英樹はキャラクターに憑依して描く少女漫画家に多い北島マヤ型のマンガ家で、さそうあきらは男性マンガ家に多い神の視点を常に持ち客観視するシムシティ型だ。この二人は間逆なカンジでどちらも好きだ。

*1:水木しげるで読んだが