吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

部屋に戻って、優雅にワインとキャビアを食べる。気がついたら2時間もフリーセルを猿のようにやっている自分。やばい!すでに12時を回っているではないか。あわててスタジオへ。
スタジオに着くと宇波くんとクリストフが待っていた。宇波くんは私のほんやくこんにゃくとしてスタジオ入りである。わざわざ、ほんとうにすまない。こういうときに人のいい人はとことんこき使われるのである。特に私のような図々しい自分勝手な人間と同じ日程で過ごすとこうなるわけだ。今度、なんかおごるよ…とねぎらう。そういえば部屋にキャビアが残っているのであさって、ホテルにチェックインしたらあげると約束。正直、キャビア、あんまりうまくない。こんなもんが高いのか?ちょっとカナッペにのってるくらいでいい気になるな、とキャビアの首根っこを捕まえていってやりたい。
その後、地獄のような5時間のレコーディングが続く。最初、コミュニケーションがうまくとれず、クリストフの音が気に入らないところも。いいところもあるんだけれど。まあ、帰ってからエディットするからいいとしようか・・・と、自分をだましながらやっていてなんだか急にうんざりする。段々と思ったように演奏できなくてイライラしてきた私は、きちんと自分のやりたいことを伝えようと七八苦。辞書で単語をそのまま伝え、そうとう乱暴な言葉を投げかける。「お前の音はきれいすぎる。もっとダーティーな音を出せ。人の音に合わせるな」などと日本ではそんなことをいちいち言ったりしないのだが、いちいち言ってみた。険悪なムードで小一時間休憩の後、もう一度。今度はヘッドホンをしないで音を出すことに。ヘッドホンを外すことで私の音にクリストフが反応しなくなるという狙いで最終セット20分一本勝負に出た。
するとてきめんに良い音になった。と、いってもこれは私の好みであって、その後、クリストフとはこの日の断絶についてのやりとりがあった。それはまた次の日に。