吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

今日はcosmosとウィーン勢らを交えた大セッションに出演である。cosmosは先日のライブの様子から照明を使うとうるさい、ということを学んだため、他の出演者とは違ったセッティングで演奏することに。ステージの下にライトとセッティングを置き、モニターを使わず、客と同じスピーカーから音を聴き、演奏するという方法。この日の演奏は前回の美しさとはまた違った新しさも垣間見ることができ、まだまだcosmosは演りたりないなぁと思ったのであった。
大セッションの方は音数が多くてやることがなさすぎて(笑)うっかりうたたねしそうになってしまう。ウィーンッ子たちの音はみんな言っていたがしっかりとした演奏法を学んだ結果から生み出された音のため非常に音の鳴りがきれいなんである。それを優等生的と捉えるむきもあるが、今思うとあれはあれで美しかったような気がしている。それだけ引き出しが多いということだし、指針のある即興演奏の中では個性を発揮するのかも知れない。とはいえ、私自身が非常に汚いゴミのような音も好むため、いささか面白みにかけた部分もあったがそれは単に私個人の好みの問題である。破綻や予想外のことが起きないとコーフンしないという不感症なだけだ。自分の判断が正しいとは思えないのであまり参考になさらぬよう。誤解なきよう読み流してくださいまし。
個人的にはこの日の Taku Sugimoto , Klaus Filip , Radu Malfattiのセットが良かった。特にKlausのコンピュータはちょっと今まで聴いたことのないタイプのもので衝撃的であった。あとで、宇波君に訊いたのだが、彼はllooppというソフトの開発などもこなす完全なプログラミング畑の人で、ウィーンっ子たちはのきなみ彼のプログラムを利用しているとのこと。また、非常に寡作な人で有名らしく、40代ちかいらしいのだが今まで一作もこの世に発表していないという。完璧主義者なのだ。私のようなタイプ(ダメさえも受け入れる不完全さが作風)とはまったく違ってそういう姿勢は素直にかっこいいと思える。一生に一作だけ傑作を生み出す、という生き方も作り手としてはアリだし、その可能性を秘めている彼には脱帽した。
参照:ヒバリ日誌(3月7日分)
http://d.hatena.ne.jp/hibarimusic/20040307