吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

ロスト★マイウェイ

http://www.walkerplus.com/tokyo/tv/latestmovie/mo2491.html

見どころ:塩田明彦ら気鋭の監督たちを番長にみたて、新人監督が手腕を競う企画“映画番長”の第1弾。「ロスト★マイウェイ」は、黒沢清監督の「ドッペルゲンガー」で脚本を手掛けた古澤健の監督作。
ストーリー:中古自動車店に集まってバンドを組む吾郎、信平、亮介の3人は、メジャーデビューすることを夢みていた。ある日吾郎と信平は、突然目から破壊光線を出すようになった亮介を他人に売り渡そうとするが、亀裂が生じる。

昨晩は誕生日らしく相方の和田ちひろユーロスペースで映画を観て来たよ。ちなみに書いとくけど和田さんは不思議系メガネの極北なので、みなさんよっく覚えておいてください。
会議で遅れてしまって最初の15分くらい見逃してしまいましたがおもしろかったです。私は映画をまったく観ない人間になりつつあるのでこれはイカンと思い直したりしながら何にもきっかけもないままだらだらと毎日を過ごしつつあるのでイケマセン。ここらで渇を入れないと。
和田さんは映像を作ったりしていることもあって映画によく行く子なので一緒に行くといいです。
映画は一人か女友達と行くのが一番、ベストのような気がする。
その昔、エヴァンゲリオンの劇場版を何を思ったのか吉祥寺のバウスシアターで観て帰りに一緒に行った男子と大喧嘩したり、ソクーロフの映画を男子と観てあまりの救いようのなさに(最後の最後で救いはあったんだけどあまりにもあっけないので)途方に暮れ言葉少なに別れたりいろいろよくない思い出がいっぱいです。思い出したらなんとなく腹が立ってきた!ムキー!

中高校生の頃はよく一人で名古屋のシネマテークに行ったものです。高校の時なぞは家の前から今池までバスが一本とおっていたので、学校とは思いっきり反対側のそのバスに乗り込んで制服のまま朝のレイトショーを観てから自由登校するなど気ままな学生ライフをエンジョイしすぎていた。もちろん、制服なので有無をいわせず学割!オッケーだ。その後、近くのウニタ書店を流し、バナナレコード(あれ、ファンレコードだっかも?)寄ってめんどくさくなってそのまま学校サボって古本屋流しながら歩いてカノーヴァンとかギャラリーをいろいろ巡ったり市美術館行くか文化センターでアート本借りたり地下でアンダルシアの犬とか実験映像を無料で観まくったり東山動物園の水族館コーナーの深海魚を何時間も見たり矢場町のPBCでスタジオヴォイスとかYASOとか立ち読みしたり(!)大須行って古着屋をチェックして友達とダベって七つ寺スタジオでチラシもぎとって喫茶店でバイトしたり美術とデザインの授業だけ受けに学校行って結局、保健室で寝てたり、放課後の水墨画クラブにはに出席して中国人のロ・ホーチン先生直伝の水墨画テクを盗んだり忙しかった。
だいたいにおいて若い頃というのは時間はたっぷり無意味にあるが金はまったくないという状態。むろん、外食などできる金もなかったから私のその頃の主食は森永ミルクキャラメルだった。ほんと、ひもじかった。たまにコンビニでクリームパンを買って歩きながら食べることもあったけど。食べることにあんまり興味がなかったし、金がないのでたくさん歩いていたため今より健康で痩せていたのだ!なんてこったい!しかも、確実に酒を飲む習慣がなかったから異様に頭が冴えまくっていて、意味もわからずジョン・ケージの本とか読んでうおおおおお無音かっけえええチャンス・オペレーション!!!!!!!!!!!意味わからんがすげーーーーーと身悶えたりで、大変だった。でも煙草は吸っていた。煙草の匂いが制服に付くのがイヤで部屋ではよくお香を焚いていたなあ。特に白壇が好きだった。煙草をくゆらせお香の炎をぼぉーっと見ながらゲルニカかけて丸尾末広読んで暖房つけてああここはインドと同じ温度だ、とか。アホだ。どうしようもなくアホ。考えすぎでノイローゼ気味になってくだらないことで落ち込んだりはしゃいだ、どうしようもないアホな女学生だ。気の毒すぎる。集音枕に叫んで騒いで落ち込んで。学校のノートの裏はぐるぐる書いた鉛筆の跡。2BではじまってFで終わる。ノートがまっくろに埋まったらちょっと気が晴れた。人を殺さなくてすんだ。あと、人を殺して解体する妄想もよくしたなあ。各部をどうやって使えばいいのか。料理の仕方はどうすればいいのか。死体さえ残さなければなんとでもなるのだとか。そんなわけだから情緒不安定さは天下一品だ。またそういう自分に酔っていたフシがある。あれは多分、少女病だ。女子が一度は陥る永遠少女アコガレ病。大人になりたくないあがきの時期。大人はみんな汚いだとか平凡なOLになんてなりたくないわだとか夢見がちもたいがいにしろ!と誰もツッコミを入れないのでそういう妄想ばかり抱いていた。楽器も弾けないのにバンドを組んでメジャーデビューしてロッキンオンの3000字だか30000字だかインタビューを受けなくてはならなくなったらどう答えよう、一人称は「あたし」がいいか「ワタクシ」がいいかなどと思い悩んだりしていたバカか私は。あー本当にバカだ。バカバカ。バーカ!
そういえば大須にあった女子禁制のレコ屋ってまだあるのかな。私が家畜人ヤプーや昔の宝島を買いあさったり、三島由紀夫の演説テープを友達がうれしそうに買っていたあの店ってあるのかな。確か灰野敬二インストア・ライブとやってたな…。名前忘れた。なんとかソーサーだかソウルとかいう名前だったようななかったような。大須といえば円盤屋はまだあるのだろうか。隣のエレクトリックレディランドはまだ健在だろうか。何もかも変わらずに何もかも同じようにすべてそろっているのだろうか。秋葉原と下北沢と浅草が混ざったようなあの町で。
私の青春は名古屋に捨ててきた。東京に私の青春はどこを探してもない。あんな若気のいたりのグダグダの何にもならない有象無象のどうでもいいドロドロした気分なんかぜんぶなしにしてしまいたい。胸の奥にしまい込み、それがあったことさえ忘れてしまった記憶。…。何をいまさら。そういうことをいろいろなことを思い出したくもないのに思い出してしまった。何もかもに絶望しながら何もかもに根拠のない夢を抱けた青春時代。ロスト☆マイウェイはそういう感じの青春映画でした。

だってさあ、ばちかぶりなんて、名前すら忘れていたよ。懐かしすぎ!

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ちなみに映画音楽と変なゆずみたいなフォークユニット役で宇波拓が出演している。友達がスクリーンに出てくるとすごく奇妙な気持ちになるよ。
実は監督のはてなもあるがそれは特に公にされてないようなので秘密だ。
あ、あと映画が始まる前に100%オレンジのアニメーションと一緒に流れている音は岸野雄一氏が手がけたものだったんだけど、最初の10分見逃したので観れなかったー。残念!あ、言い忘れてたけど映画は今日までです。