吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

将来の夢など在るわけがない園児

子供の頃の話。

わーわーわー。子供達は意気揚々と未来の自分を夢見てた。かくいう私が何も目的はない。齢5歳にして未来に希望など持てないと達観していたのです。
冷たい床。それを知ってるから。誰もが私を迂回して大人びた私の言動浮ついて。ひたひたと歩いたあの廊下。冷たい。カスタネットを私は壊して、でも、そこで誰も非難しなかったから、私は大人は簡単だなんて思った。あのとき確かにそう思った。大人を騙すのは赤子の手をひねるのと同じくらいだって、そう、思ってた。
不気味なくらいかわいいかっこうをさせられてたあの時の私の右腕には既にサボテンのとげが刺さっていて、紫に不気味に変色していました。残念ながら私は転んだって平気で涙も浮かべない気丈な気味の悪い子供だったので。先生の膝にゲロを吐いて意志表示したあの日の事、ちゃんと覚えてる。ねんどの冷たさも。こっちに向いた蛇口のことも。蝙蝠が死ぬあの窓のことも。鮮明に覚えて匂いさえも。クレヨンの匂いさえも。私は病んでいたかも知れない。でも、それがせいいっぱいだったと。今は抱きしめてあげたい気分。