吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

さりげなくドリフターズをモチーフにしたキリンのCMをみると涙が出てくる理由

http://www.kirin.co.jp/brands/greenlabel/index.html?param=1

この物語に登場する5人組は緑あふれる自然の中で、楽しく自由に生きています。
どこかで見覚えのある、そしてチョット懐かしい、そんな愉快な5人組です。

 ドリフターズに特別な思い入れがあるわけでもないけれど、ドリフターズは一生いなくならないなんて勝手に思い込んでいた子供時代があるから私はこういうキリンのCMを見て妙に切なくなってしまった。長さんといえばやっぱりキリンのCMでウッドベースを地味に弾く姿がものすごく良くってあのCMも印象に残っていた。そのCMの姿は本人もすごく気に入っていて遺影に使ったほどだというエピソードも知っている。
 で、地下鉄の広告で見たとき、すぐにそれがドリフをモチーフにしたものだと、私は気が付かなかったのだけど、「イインダヨ! グリーンダヨ!」というコピーの下にドリフターズみたいなちょっと似ていない外国人の5人組を見つけたとき、あっと驚く。なんの説明もないまま、想像と材料もなく放り出されたこの広告…。すごくないか?しかし、それでもドリフじゃないかも知れないってちょっと疑ってもいた。魚の小骨が喉の奥にひっかかったみたいに気になっていた。だから、CMでこのドリフな外国人たちが陽気に歌ったり踊ったりしている姿を見て確信した。ドリフダヨ!そう、確信した瞬間、このCMの世界がファンタジーなんだと思い知らされた。だって、長さんはもうこの世に居ないんダヨ!この姿は絶対に見れない。実はいかりや長介は大柄な印象だが実はそんなにでかくはなかった。他のメンバーが小さいのだ。長さんを頂上にしたあのシルエットがCMというファンタジーの中によみがえっている。何もかも切なすぎる。そして、印象に残る。

 だけど、嫌味なカンジになっていないところがこのCMのいいところ。ファンが不愉快にならないように随所にきめ細かいこだわりを感じる。愛だ。だいたい、外国人を使うというセンスがいい。ここで日本人なら、「何似てない私のドリフを返せ」的な気分になるけど、人種が違うところでうまく回避している。
 そしてそれは、もう二度とドリフターズの5人組は見れないというさびしさを強固にするのだけど、ありきたりな言葉でいえばドリフターズみんなの心の中にいつまでも生き続けているのですとか、言っちゃうよ。恥ずかしげもなく言っちゃうんだから。