吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

アニメがお仕事!がすごい

ほんとこんなひどいマンガだとは思ってませんでした!精神的なブラクラですよ!
いや、ものすごい褒め言葉ですが。

ちゃんとマンガなんですよね。ネームとストーリー運びのテンポも良いし。
だいたいふつー物語なんて一度、真理を得たらその後は上へ行くばっかりですが、これは一進一退繰り返し、徐々に血肉になっていく過程が描かれていて好感が持てます。

人を不必要に貶めるってのの根源は嫉妬であると思いますがその嫉妬という感情が起こる事情を「自分が頑張っていないと自分でわかっている」からだという視点が新鮮でした。しかし、このネタが繰り返し繰り返し出てくるのでツライですね〜。←楽しい。
この嫉妬心みたいなものを自覚してうまく、付き合えると作品の向上に繋がるってもんです。嫉妬心さえもエンターテーメントに昇華させる力量がないとね。読者や仕事の関係者を不快にさせたら終わりだし(その場でおもしろがられよーが)醜いということを自覚しないとな。そう考えると西原理恵子はそれさえもネタにしていてやっぱりすごいのだ。他人の無自覚な嫉妬については水木しげる先生のエッセイでも繰り返し指摘されている点なので、なんだかわからないけどあいつだけは許せない!という感情があるとき、これって嫉妬?と振り返る余裕と、嫉妬だったらうまくつきあっていこうとする工夫をするとかなりいいカンジ。かくいう私はすでにその攻防を体得してしまったので身近な他人に嫉妬することはない。むしろ、自分が好きなものは伸びて欲しいと思う。嫉妬はないが嫌いなものはおおよそこの世の全般に悪と感じるものだけだ。そういうものには目をつぶるか無関係であればいい。結局、なんか生きてて思うのが自分という存在が誰かにとって微々たるものでも良いに向かえばいいのにということだ。それくらいの謙虚さがなくてはすることは暴力でしかない。

私は何かを創ろうとする人の苦悩を知っている。
無自覚にできる時期があるのも知っている。
しかし、続けていく、そして自分の作品が届く対象を知ってしまえば変質していくこともわかっている。

一握りの天才以外、苦悩はついて回るものだ。
しかも、その天才だっていつかは気づいてしまうかも知れない。

永く続けたいなら、天才になんてならずに、凡才であったほうがずっといい。たった一つの作品をかけがえのない一瞬を何度も再生したいなら、奇跡を幾度でも起こしたいなら、客観を身につけるか、客観してくれる誰かを信じるしかないだろう。

誰かがいるから、そこに作品があなたが、いるのだ。

というあたりまえだがものすごく美しい関係を夢想する。