吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

『ぽてまよ』について。だらだら書くよ。

 『ぽてまよ』に中毒性にやられてきました。このアニメは完全に繰り返し視聴に特化しているような感じがあって、ニコニコで上がってるループとか見てると気が狂いそうになる。オープニングの曲からして「もきゅもきゅ」とか「きゅきゅきゅ」とか耳から離れないような音色を大量投下しており、そこがアクセントになっていて、「もう一回!」とお代わりし続けてしまう。かつて人が快楽に忠実になるのは下品でみっともないという恥の概念があったはずだが、日本のアニメはもうここまで来てますよ!奥さん!というオソロシイ最終兵器なのだ。
 ぽてまよの造形自体、全力で愛して!と体中で表現しているようなものなんだけど、このわかりやすい萌えアピールがダメな人はダメだろうな。ロリコンアニメ!とか言われるわけだけど、同じようにかわいいキャラが出てきて動くのを愛でるというのなら『おじゃる丸』や『チェブラーシカ』なんかもあるじゃない。それとの違いってなんだろうと思ったら、ぽてまよが女の子だから?とか思っちゃうですけど、どうですかね。
 で、このアニメが良くできてんなーと思うのは、一見、サービス過剰の萌えの百貨店みたいなもんって思うけど、しっかり見ていると、かなり細かいところで良いこと言ってるんですよ。でも、それがぜんぜん押しつけがましくなく大事なことをさらりと言うので(伝わらなくても良いって思ってるみたいな)、繰り返して見て「あ、」と気がつくという。これ何だろうなーと思ったら、
2007-08-29 - matakimika@d.hatena

あとぽてまよはメインキャラの大半がマイナーな性的欲求を抱えているアニメなのでまじめに考えるとじわじわ来るはずなのだが、延々見てても特にそうならないな。基準や規範らしきものの不在がうまいこと作用しているのかもしれない。

 と書いてあって膝、ポン!メインキャラの大半がマイナーな性的欲求を抱えているといえば、『カードキャプターさくら』なんかを思い出すが、あれもその点がじめじめしてなかったな。それが、悪いこと、変わっていること、ダメなこと、なんていう視点がないのは見ていてすがすがしい。規範があることで、その規範外にズレたものに対しての無理解が襲いかかるわけで、これは道徳アニメじゃない、深夜放送のアニメですから、わかってるから心配ご無用なところが良いです。

 そう、このアニメって大人がまったく出てこないのな。もちろん、素直のお父さんとかみかんの父母とかいるんだけど、あんま親らしい密なコミュニケーションがないという。素直のお父さんに至っては、お父さんらしさという規範をまったく見せていない。素直は親がああだから、あの性格になったというわけだけど、それは子供として不幸なんじゃないの?っていう、ところにぽてまよがいるのが、素直の癒しになっているという関係が心地良い。よーするに、素直の「童心」を外在化した存在が、ぽてまよなんじゃないかって思えて。それが正体不明の生き物ってどこのチェブラーしかか、ヒトミの飼育日記ですか!と、思っちゃって、そうなってくると、急にぽてまよの存在自体が不気味にも見えて。でも、それは説明されなくって。わからないものをわからないまま受け入れちゃうって姿勢に、癒されます。癒されるとか簡単に使いたい言葉じゃないが、こればっかりは癒しじゃないのか?と思ってしまう。

 それと、声優の声の演技もいっちゃってる。ぽてまよ、ぐちゅ子の声がキモチイイという音楽的な快楽を持ってるんだけど、それにもまして、驚いたのが釘宮理恵の演じる春日乃ねね。最初、またやばい新人が!と思ったら釘宮理恵で驚きました。回転数の高い甲高い声(もちろんなんのエフェクトもない!)すぎて、何を言ってるのか聞き取れないという。聞き取れないということは、聞かなくてもいいってことで、セリフに意味がないですよ。なんか、毒舌なコメントを言ってるなーというだけ。もちろん、繰り返し聞けばわかるが、TVのアニメ放映ではほとんど、聞き取れないことが多いのだ。なんで、釘宮なのかなーと思ったら、ねねはポエムを読むときに全然違う声で演技するんだけど、そこでギャップを作るためってことだった。ここでねねの2面性みたいなものを声で表現してるわけ。んな感じでいろいろこのアニメは音に関してすごくオモシロイアプローチをしてるなーと私なんかは観てると思います。ナレーターが井上喜久子 というのも逆に気になっちゃってしょうがないっていう(笑)。

 動き、音のループのキモチ良さ、そこが突出しているこのアニメはオモシロイと思います。というか、中毒性が高すぎる。2〜3話で、テンポ作ってるのも良い。何から何まで快楽的でありながら、その隙間にわからないように大事なことを軽く流しちゃう。そういうセンスが実に今っぽいなあーと思う次第でありました。難しいことぐだぐだ考えずに単に楽しむのが吉ですが、それだけじゃない魅力も見逃さないで欲しいなってことで。