吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

大衆食堂においてあるようなマンガが良い。クッキングパパはヴォーノ!ばかりだ

 スピリッツに載ってた小学館漫画賞受賞作の『バンビ〜ノ!』せきやつじ氏の受賞の言葉が良かったです。大意を書くと、読者の趣向が細分化する現在に直球を投げたい。大衆食堂においてあるようなマンガが良いとして、そういう読者に届くマンガを描いていたいという意だったんですけど、ちょうど、こないだ「食べ物屋においてありそうなマンガって、何だろう会議」をしていたときに、『バンビ〜ノ!』を挙げていたので、なんか読んでいて感慨深かったです。料理マンガというジャンル『美味しんぼ』とか『ミスター味っ子』のイメージでとらえてる人も多いかと思うけど、オモシロイ作品はそれぞれおいしーだけじゃなくって、他の面にも焦点が当ててあったりして、王道のエッセンスを抜くと妙に変だったりすることも多くて気が抜けません。『バンビ〜ノ!』もタイトルどおり、筋としてはまだ旅だってもいない系の青二才の成長マンガなんですが、これオモシロイのは主人公一人の成長ってだけじゃなくって、内部統制の要素もあったりして。『働きマン』もそうだけど、お仕事マンガというジャンルはオモシロイよね。料理よりもそっちをクローズアップしているから、ぜんぜん料理人になっていないという(笑)。レストランの内のいろんな仕事を流浪していくんですけど、この手法もわりとポピュラーで『ブラックジャックによろしく』なんかもいろんなところに配属されていますよね。そうすることで、全体を見せる、みたいな。『働きマン』は主人公は流浪していかないんですけど、回によってクローズアップされる登場人物が変わるので視点が違うから構成としては同じですよね。
 よしながふみの『フラワー・オブ・ライフ』も分担作業のお話だともとれるわけですが、人が無理せずにそれぞれの役割を全うできる世界はというのはフィクションの中だけのこと。だったら美しい理想がみたいわ、なんつーわけですよね。
 お料理マンガといえば、イタリアに行ってからの『クッキング・パパ』が本気でヤバイ!と私の周り(主に虹釜さんとヤスさんだが)では評判で、イタリアに行ってからは、「あらコレ何かしら」「美味しそうだな」「くださいな」「パク」「ヴォーーーノ!」と叫んでいるだけの描写が続いており、ほとんど、『バカドリル』の様相で、めちゃくちゃ笑えます。コマ割りもめちゃ大胆!なんで、みなさんどこかで見かける機会あったら、そこんとこ注意してモーニングのクッキングパパを読んでみてください。マジ腹痛いから。