吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

失業日記

失業だよ全員集合!
 てなわけで今日から面接活動をはじめた私だ。
というわけでこれら何回か険しい仕事を得る日記が綴られると思う。こうご期待?
 フロム・エーをぱらりらとめくるとコンピュータ関連のところにMacオペレータ(受付・制作含む)イラストレーター、フォトショップが使える女性スタッフ中心のお仕事で名刺のデザインが主な業務内容というのがあった。
 ふうむ、これはきっと小さな印刷会社のようなところで名刺を作ったり、コピーをしたりする類のあれではないか?しかも女性スタッフ中心とあるということはきっとこぎれいなところで女性ならではの配慮がされて、セクハラのセの字もなく、同僚とあこがれの昼ご飯を一緒に食べたり、洋服や化粧品の話をしたり、まるでOLさんのよな和気藹々とした楽しいところだろうと想像したわけだ。なによりもキていたのがその会社名でここで働くことになったら、人に話すときに笑えるな〜なその名も「有限会社アヴァンギャルドデザイン」。どんなデザインだ。
 そんな期待を胸に秘め、向かったところは池袋。
 言われた会社のところへと進んでいくと辺りは風俗店ばかりの場所である。治安も悪そな危険地帯。言われたビルを探しているとなんだか風俗店のバイトの面接に来たよなおのぼりさんチックな自分の行動に辺りの視線を気にしてしまう。別に風俗店で働く事は悪いことではないのだけれど、何となくそうゆうところは恐ろしいというイメージがあるのでどうもイケナイ(ぶちっくの試着室に隠し戸が!!かわいそなこうしがうられていくよ〜的なイメージ)。
 なんとかビルを探し当て、そのデザイン会社の入ってるマンションの部屋の表札を見ると会社名がない!なんで?やっぱりちょっと気まずい会社なんじゃという気持ちが頭をもたげ、女性スタッフは全員風俗嬢も兼ねるんじゃないかと不安になる。いざとなったら横っ面をはたいて逃げなくちゃなるめいと防御策を考えながらエレベーターに乗る。
 ちん。
 6階についた途端、かぐわしい石鹸のかほりがフロアー一帯に充満している・・・ひーーーー! バックを右手にぎゅっと握り、インターホンを鳴らし、中に潜入。
 ワンルームのせっまい部屋には雑然と段ボールなどが積み重ねられていた。むろん、客を迎える受付など存在せずただ、ここでは制作のみをしているのだと悟る。
「どうもどうも」
いかにも風俗店の客引きでございな面構えの男が私を迎える。奥にはコンピューターの画面にかぶりついたままの女性が一人っきりで何か作業をしているようだ。
 で、面接がはじまった。
 まあ、通り一遍の事を聞かれ答えてから男はおもむろに口を開く。
 「で、業務内容なんですがここでは風俗店で働く女性の名刺を作っているんですよ。」
 と、言って名刺のサンプルを見せてきた。おおおおおおおおおお。要は名刺のサンプルの中からギャルが指定してきたデザインのやつに名前を入力するだけという仕事である。
 これはイラストレーターもフォトショップも本当に最低辺の知識さえあれば誰にでも簡単に出来る仕事だ。こんなん目をつむってても出来るぞ。
 しかし、年に何回かデザインをがらりと変える時があるらしくそんな時にクリエイティブな女性の感性で名刺のデザインをしてもらいたいのですと男は言う。そうか、そのくりえいちぶな名刺とやらのサンプルを・・・・ってどこがくりえいちぶやあああああなんじゃこりゃああああ(松田優作)。ものごつう趣味の悪っな毒々しいヤンキー調のカラーが満載で、著作権フリーの写真をただべたーと背景に添えただけらしいものに変態少女文字で「蘭 麗香」とか名前が載ってるだけやないけえええええええ!!!と、あまりのくりえいちぶてぃに心の絶叫マッシーンは止まらぬ加速を続けていた。
 「じゃあ、実際、やってみましょう。」
と、男はいい、さっきの女性の隣に座らせられた。え?実際にって?と目を白黒させていると美大 卒風の彼女が説明してくれた。
 「じゃあ、とりあえずこの名刺そっくりに作ってみてください。」
 私はその画面を見ながら字をすこーし直し、お店のロゴを下にずらしてた。
 「こ、これでいいんですか・・・。」
 「はい、良くできました。ここではね、これを一日中、やり続けるっていう仕事なんです。」
 「はあ。」
 「フォトショップって知ってます?」
 「はあ、大体、わかってますけど。」
 「時には、フォトショップを使う事もあって、フォトショップでEPSというのに直したのを背景に貼りこんだりするんです。それくらいなんだけど・・・。」
 しーん。
 あまりの単純作業に絶句してしまった。これはわざわざフロムエーのテクニック&クリエイティブの欄に載せるべき作業ではないのではないのだろーか。しかも、このださいセンスはある意味辛いぞ。
 面接男も私の物足りなさに気がついたのかしきりに年に何回かはデザインも出来る事を強調するし、ってそれ以外はデザインなんてみじんも関係ないじゃないの。しかも、デザイン優先とは思えぬぞ、である。
 しかもイラストレーターは7.0だった。Mac.はG3だったけど・・・。うちにあるソフトより古いじゃんかーーーーー。そりゃないぜ。
 という面接を終えつつ、私は帰り道に私がもしあの会社で働くことになったら、あの名刺サンプルにはなかった女の子の写真をばーんと入れたり、本人の似顔絵とかのイラストを多用したデザインを作るのになあ。その会社のホームページを作ったりもがんばれば出来るし・・・と勝手にその会社で働く自分を想像していた。たぶん、落ちるだろうし、万が一、受かっても行かないと思うけどさ。でも、時給で換算したらこないだ働いてたとこより待遇もよいので、前のところは結構、ひどかったのかもと少し、思った。そしてあのお試しで作った名刺が使われるのなら私はただではたらかされたのだということだなあと思った。