透ける家の中でのあぶないパフォーマンスさっぱりわからん。アートってむずかしいですね。
天上から吊り下げられたプラスティックのフォリエにスプレーで、赤いアウトラインを描く。そこに座り、ロシア人アーティスト、エレナ・コヴィエは、接着剤を絞り込んだビニール袋を顔にあて、吸い込みはじめる。次第に彼女の様子がおかしくなる。観客に不安がつのる、と、突然ひとりの男性が大声で「やめろ!」と怒鳴り、彼女の手から袋をもぎとるろうとして、彼女とのもみあいがはじまる。
ロシアのストリートチルドレンをテーマにしたパフォーマンスだが、緊迫感に鳥肌が立つ。どこまでがアートなのか分からなくなってしまう。(美術手帖2003年4月号)