吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

吉祥寺発、成田行きのバスで、としまるさんとばったり乗り合わせた。飛行機に乗るときはいつも、睡眠不足。準備がいつもギリギリまでかかるせいもあるが、少し眠いくらいじゃないとフライト中に退屈になってしまう。できれば空の上では、眠っていたい。体力を温存するために、バスの中でも眠る気満々でアイマスク。さあ、寝るぞぅと意気込むが、女学生の集団がハイテンションで嬌声を発するため騒がしい。箸が転んでもおかしいとはこの年頃の子達のことをいうのであろうか。実にくだらぬ内容でコロコロと笑う。妖怪ケラケラ女もびっくりのうるささだ。どなたか勇気のある御人が注意を促せばよいのにと頭の端で願いながら、浅い眠りについた。
しばらくして、一際うるさい声で目が覚める。
「見て!レインボーブリッジ!」
きゃあきゃあと観光名所の名前をあげてはいちいち驚嘆する女学生。彼女たちはディズニーランドにおののき、レインボーブリッジに心酔し、お台場に恋をするのか。くだらん。実にくだらん。バスの中は彼女たちとは正反対に沈滞ムードである。
としまるさんは女学生たちのすぐ近くの席であったため、会話をリスニングしてきてくれた。その内容を再構成してみよう。

●幼稚園の教育実習でアメリカに行く3人。一ヶ月近くバラバラの場所で生活をするらしい。保母さんを目指す三人組。
A「あ、ラブホテルだ!私、ここ来たことあるかもぉー!」
B「えーそうなのー?」
A「そういえばさー、一ヶ月もぉ彼氏に会えないからぁヤリだめしてきちゃった。溜まっちゃうもんね!」
B「私も私もー!」
C「あはは」
A「ねぇねぇ、ヤル時ってどうしてる?」
B「えー最初ぉ、ビデオ見てからぁ、お風呂に入ってー」
A「なんかさーその時みたビデオと同じ手順で迫ってくると萎えなくない?」
B「あ!!萎える萎える!」
C「あははは」
と、耳年魔トークも花盛りであったようだが、彼女たちの声はバス中に響き渡っていたのであった。無意識過剰とはこのことを言うだろう。そして、電車の中で化粧をする女子に怒るおっさんの気持ちも少しだけわかったような気になった。噂の東京マガジンも先入観を持たずにすむかも知れない。無理か。

成田に着いてそのあとはとしまるさんに刷り込みされたカルガモのように着いていく。手荷物検査の入り口で杉本さんと合流。3人並んで搭乗手続きを待っていると、カウンターのところですべての流れをせき止めている人がいる。嫌な予感が的中。その人はキャップであった。想像通り、重すぎる荷物のことでモメていた。しまいには責任者のような人まで出てきての押し問答中である。我々が声をかけると責任者のような人がこっちに来て満面の笑顔で「お仲間ですか!?」と歩み寄ってきた。お仲間…って。
オーバーした荷物のウェイトを我々、3人で請け負うことでその場はことなきを得た。それでも10キロ、オマケしてくれてやっとの話。一体、何がそんなに重いのか。テープエコーだろうか…。ミュージシャンは大変だなあと、楽器を一切持っていない私は他人事のように思った。