吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

12/2(thu.)

これも5年くらい前に書いたもの。私の夢はほとんど血まみれなのか?

 私自身は登場しない。私の目はカメラと例えれば分かり易かろう。何も手出しが出来ない、ただ、こうやって事件を見つめるだけの映画。

 そこは見知らぬマンションの一室だった。夫は古い妻と新しい妻の両方に挟まれ、苦悩している。古い妻は夫よりも年寄りで、反対に新しい妻は若い。新しい妻は早口でまくしたてて、古い妻はそれに気圧されている。夫をはさんで互いに罵詈雑言の言葉を吐く。新しい妻の勝ちだ。古い妻は肩をすぼめ外に出ていった。

 新しい妻の娘はソニープラザに友人と居た。そこで誰かのプレゼントを物色している。結局、購入はせず、バスで自宅に戻った。娘とその友人はバス停で別れる。友人はバス停からすぐのマンションに帰ようだ。先回りして視線は彼女の部屋の中に固定された。ドアが開く音が聞こえる。友人が部屋に着いたのだ。
 この部屋は赤い照明でびらびらした布を纏っている。少し斜めに傾いたカメラの視界に彼女が入る。コートを脱ぎ、衣紋掛けかけているようだが遠くて視点が合わず、ぼやけている。なんとなく分かる人の気配でかろうじて彼女だと分かるくらいだ。
 突然、部屋の中に忍んでいた髪をふりみだした狂女が彼女に飛びかかった。ふいに安定を失い、ベットに倒される。ベットは赤の中で引き立つような白い色。ぼんやりとそのシーツが赤に浮かんでいる。
 狂女は何か小さなナイフのような彫刻刀のようなものを持っていて彼女の腹を切り裂こうとしている。
 そうだ、彼女のお腹の中には赤ん坊がいる。狂女の元彼氏の子供だ。
 それを知った狂女は逆上して彼女に襲いかかったのだ。狂女は子供を殺せば彼が戻ってくると信じているあわれな女なのだ。
 しかし、彼女の方が一枚上手だった。逆にナイフを取り上げて狂女に切りつけた。狂女の黒髪は少し切れ、枕の上にはらりと落ちた。床に倒れて瀕死の重傷を負った狂女。赤い部屋の中で、更に赤い返り血が部屋に散った。その血は薔薇の花びらのようだった。
 彼女の白いワンピースが赤く染まっていた。髪もふりみだれどちらがこの部屋に侵入した狂女であったのか、わからなくなった。
 彼女は返り血にまみれた手で黒い受話器を握り警察に電話した。

 修羅の後、窓から騒ぎの発端になった男が彼女の部屋へ侵入してきた。