吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

取るに足りない存在が策動すること。

を蠢動というわけだけど、こないだ世界はあなたのためにないというエントリーを書いたので思い出したのがこの言葉。園山二美のマンガ「蠢動」をご存知ならピン!とくると思う。こない人でも、なんとなくふうん、と思える、そういう話を今から書こう。

 あのエントリーでは、いづれは、選択しなくてはならない時が来るだろうが、少ない材料で判断するのは愚かしい。という話を書かなかったので、恰も選択しろと迫るだけのキョーフの一文にも見えたので、補足するが、今すぐ決めろというわけはない。よもやタルホのように25歳で決断しろなどと言う気もない。

 さて、このエントリーですが誰に向かって書いている文だと訊かれて即答するが14歳くらいの自分にである。私は時々、過去の自分に宛てて手紙を書くようにプロクを更新したくなるのだ。何故か。それはその時、世界から見捨てられていたような気がしていたからだ。ただ判然と大人になったらロッキンオンで30000字インタビューされていると想像しそのインタビュー内容を妄想しているだけで半日がすぎるという体たらくの毎日。目の当たりにした現実があまりにもつらすぎると感じていた為、何処かへと逃げ出したくて仕方がなかったが救ってくれる誰かを夢見るだけで自ら特に何かをするわけでなく、努力もせず、ひきこもる毎日。詳しくはユリイカムーンライダーズ特集を参照のことと宣伝も忘れず。抜け目なく書いている場合ではない。

 もし、今の自分が過去の自分に出会えるなら。

 そういう妄想を最近は良くする。どうしてあんなにもバカだったのか。コドモだからですよ。コドモだから選択を間違えて、自分と自分以外の世界が繋がっているなんて考えもしなかった。しかし、ただ、自分の周りの環境があまりにも悪すぎたし、今思ってもふつーに考えてもわりとカワイソウな思春期である。カワイソウであるがそのカワイソウから私はどうやって抜け出したのかを思い出す。

 私の家には中学生〜高校2年生頃までに集めてためたチラシがけっこうな数ある。それは映画と演劇と音楽と美術など趣味に関するものばかり。当時はまったくそれぞれについて、まっとうな判断はできなかった。そしてそれぞれを面白いなんて思うことは稀だった。なのに見続けた。熱病にうなされるように意味も理由もなくただ、見続けたのだ。何かを判断するには材料が必要。好きなものを見つけるためにはそれ相応の経験と知識が必要。

 ものすごく好きなもの、ものすごく素敵なもの、かけがえのないもの、どうしてもそうしてしまうもの。そういった判断基準を決めるものさしがまだ、なかった。何が良いのかわからない。自分が何が好きなのか手探り。だけど、どこかに圧倒的にすごい何かがある予感だけはあった。根拠はないが何故だかそういうものがこの世界に存在しているという気だけはした。気のせいだったのかも知れないがとりあえず、そういうものがある、ということにして無心になった。無料で観れる場所にはいくらでも行った。とにかくマイナスよりは0でも1でも2でもいいから知ることが必要だということはわかっていたのだ。そういうふうにどうして思ったのかは謎。

 基準なんてはじめからあるわけがない。独自の美学を、ダンディズムを持つには自分自身、それが何かを発見しなくてはいけない。意識的でなければならない。徹底的に問う時が必要だ。そして、それは誰かから簡単に与えてもらえるものではない。自分が必要だと渇望しない限り、何も得られないのだ。それは経験上そう実感する。私はただ、何が何だかわからないままただ、たくさんいろいろと観た。そして、一箇所でも気に入った場所があればそれをまた押し広げ、もっと知ろうとした。そうやって、ハイパーリンクみたいに飛び回っているうちに自分の好みがなんなのか、大体わかるようになってきた。大体、わかるようになるとそこから好きな何かを探すのは段々と簡単になっていく。段々と好きなものが増えていく。好きなものが増えていくと不思議なもので、コドモの頃のようにむやみに世界に失望しなくなったのだった。

 強い焦燥感にさいなまれ、何かを決断しなければならないとなったとき、判断する何かが自分の中に何もないなら、そこで何かを無理に決断する必要はない。保留しておいてもいいのだ。時には留まる勇気も必要だ。進むことばかりを薦めるのは感心しない。人によってそれぞれだし。誰もが全力疾走で息せき切らしてたって美しいわけがない。

 そういうときはその場に留まって情報を収集することを薦める。

 だから、私は当時の自分に大きな拍手を送りたいと思う。挫折せず、変わり者だと言われようがまっとうした日々。趣味に金を使うために食費をケチってキャラメルを一日の食事代わりにしていたあの涙ぐましい努力を思い出すと今のだらけた生活はなんだという気がしてきた。とりあえず、さっきかった都こんぶでもしゃぶろうと思う。単に夜中に起きていておなかがすいただけという何だかなーなオチで終わる。

 青春に焦燥感は必要不可欠!
 焦燥感を感じているうちは青春真っ只中!ってことなんだ。大いに悩め。ウェルテル。われ想う故に我ありと、誰かエライ人が言ってた。