吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

『ジャニヲタ 女のケモノ道』/松本美香 読みました

 http://www.shochikugeino.co.jp/matsumoto/

 立てこんでいてなかなか紹介できなくてすみません!
 ユリイカ文化系女子カタログつながりで拝読させていただきました!女性の書き手がいろいろ出てくるのがものすごくウレシイ&心強い。

「ジャニオタ」とは
 ジャニーズタレントを所属事務所ごと愛する濃ゆ〜いヲタク女子。「30代」「独身」「ジャニヲタ」の三重苦
 女芸人が綴る爆笑&落涙エッセイ
 
 (帯び文より)

 担当編集の方から献本いただきました。ありがとうございます!はじめ「ジャニーズ詳しくないから」とお断りしたんですが「そんな方にこそ是非!」と言われ、ほんと〜?そうは言っても固有名詞がわからなさすぎるゼ!と身構えたのですが、「ほんとにそんな方でも是非だったわ!」となりました。わからなくてもサクサク読める!人間偏見はいけません!なんでもチャレンジする子になろう!
 んで、エッセイものは私好きなのでかなりいろいろ読んでますが他にはない書き口でこの独特なノリが好きな人はクセになるこウケアイ。兵庫の方だからか大阪弁ほどキツくはなく一人称もワシとベタベタした女性っぽさがウゼーということもなくエッセイにぴったし。いいリズムとテンポが。私のエッセイ論ですが「読みやすい!」と読者に最適化してあるということは最重要なのです。考えこませちゃダメ!読者への負担は限りなく軽く!です。
 まさにこれから夏の帰省シーズン新幹線で高速バスで実家に帰る時に旅のお供に最適!ジャニーズ好きな人はもちろん、何かにハマった経験があればジャニヲタじゃなくても楽しめるし、ぜんぶギャグで落としてくれてるので悲壮感がないのがいいです。傷つかないようにすべて妄想で補完する乙女の武装錬金。でも、自虐で落としつつも他のファンに偏見を与えないようにデリケートに気を配り、かつ面白く書いてあるのが好感度大です。知らない男子も生態ルポとして楽しめます!かなり広くの層にオススメできます。

 あと、渋谷系ネタは学校とか友達にそういう人がいたので思い出しました。「3分に一回は渡辺真理奈の悪口を言う」習性とか。今、もっともダサいと言われる渋谷系アイタタなサンプルネタとしても1970年代前半生まれで流行にのった人はすんなり共感しつつも笑えると思う。モーオタ、ジャニオタ合コンも楽しそうでした。

 何かを愛しすぎている人というのは滑稽だとど愛しい!この気持ちは共通。ですよね。

 「ジャニオタ好きの負け犬30代毒女イタ!」との通り一般の評価に対して「私はこうです。なぜなら」と、最初に「なぜ、ジャニヲタなのか」との表明があるのですが、これは素敵だと思いました。「ジャニオタ=顔だけで人を判断する人に違いない」との偏見に対して「そうじゃない」と書いてあるのは、人を「しょせんこんなもの」「〜でしかない」と単純化してしまうことに対するささやかな抵抗がされていて(かといって押し付けがましくなくね。深刻なことが軽く書いてあるのです)、人間の多様性のオモシロさを感じさせてくれます。もう、だいたい当事者というのは考えて考えて考えすぎてそれでも、とそれを選択しているので、興味ない人が想像するよーな問題は全部、自分の中で解決しているものです。だから、こそ、女子!好きがあるのって楽しいよね。好きになった結果だけを提示するのではなく経過を書く事が理解を深める一歩。そんな世界を覗かせてもらえて、楽しかったです。

 【関連リンク】
 松本美香のサイト おとこ日記