吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

石井輝男の『江戸川乱歩全集・恐怖奇形人間』


 お疲れさまです!吉田です。

 『恐怖奇形人間』GET!!: たけくまメモ石井輝男の『江戸川乱歩全集・恐怖奇形人間』(東映京都・1969)が紹介されていたので懐かしいーと思い、こんなチラシをひっぱり出してみました!1993年に名古屋のシネマテークで上映されたので、行ったのでした。当時高1か。白黒のほうはそのときに折り込まれていたものです。東京の方は行ってません。

 で、なんで、当時、石井輝男特集がキタコレ!だったのかなーと思い返してみると、93年に石井輝男の最新作『ゲンセンカン主人』が公開されていたからでした。『ゲンセンカン主人』はご存じ、つげ義春のマンガが原作。佐野史郎が主人公で表題作の他、『李さん一家』『池袋百店会』の3本のオムニバス映画でした。さかのぼること91年には竹中直人・初監督作品として『無能の人』が公開されたこともあり、つげ義春ブームだったんですね。さまざまな単行本などが復刻され、『ガロ』で特集を組まれたりしておりました。石井輝男はその後、98年に浅野忠信主演で『ねじ式』を監督しております。豆知識でしたー。

 そーそーなんでこんな話になったかっていうと、この『恐怖!奇形人間』の海外版のDVDが異例の売り上げだそうなんですよ。来たよ!悪趣味ブームが。再度。って、なんとなく今、『絶望先生』とかみたいなセンス(筋肉少女帯センスとも言えるか?エロ・グロ・ナンセンス)が受け入れられているのを見るとこういうグロテスクで意味不明で難解なモノを渇望するムードがあるのかなーと思ったり。90年代に押し広がったフラット化の果てに、なんもなくなった平成の土地で、むしろ、キョーレツなものが受け入れられはじめているのかも。違いは、過去の作品が、いっぱいいっぱいでギリギリラインで無意識な狂気だったけれど、今現在は意識的に狂気を楽しめる環境になった気がします。何が「良い」かはわかりませんが、それはそれでオモシロイと思うのでした。








 そんな関係もあってかないのか知りませんが『追憶のざわめき』*1もニュープリントで上映されるようですね。あれも、ほんとにヤバイものなので、刺激に飢えた若者は若いからこそ行くべきだと思います。

【内容】
大阪市南部、若い女性たちの惨殺事件が続発する。
被害者たちは下腹部を切り裂かれ、その生殖器が持ち去られていた。

犯人は廃墟ビルの屋上で暮らす孤独な青年、誠(佐野和宏)。
彼は「菜穂子」と名づけられたマネキンを愛し「愛の結晶」が誕生することを夢想していた。
次々に若い女性を惨殺し、奪った生殖器を菜穂子に埋め込む。

 と書くと、ひどい話なだけに思うかも知れませんが、見終わってみると美しい映像しか浮かんでこないという不思議な映画です。ひどいこと、うつくしいことが同時に起こるのです。陰も日向も一緒に在るということ。こういった、グロテスクで美しい作品世界もあるのだな、というのはある種の救いにも似た感動を覚えます。実に滋味溢れる作品。一度は観ることをおすすめしますが、グロテスクな描写も多いので苦手な人は苦手かもね。もう、この勢いで『闇のカーニバル』とかも上映して欲しいもんです。昔のカルトムービーいまこそ、再上映ブーム。いかがっすかー。

 あと、ちょっと違うけど『童貞。をプロデュース*2、『ラザロ』*3なんかも観たい気分です。私は。なんかちょっとやっちゃった感のある作品がオモロイ気がしてます。久しぶりに映画がどかんと観たいな〜って思ってます〜。数年来そんな気分はなかったのですが。後半戦はいっぱい映画観たいな〜。