吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

ポツドール「顔よ」すばらしかった

以前、

http://d.hatena.ne.jp/amiyoshida/20070717/1184645681

だから、未来のポツドールに私は期待したい。「やっぱりポツドール!」なんていう劇じゃなくって、「これがポツドール?」と思わせるような劇が観たい。そういうものを作れる劇団だと勝手に期待してしまう。そろそろポツドールらしさに安穏としていることに飽きているんじゃないのかな?と観てて思いました。正しくないけれどオモシロイ。けれど、私はソレが大嫌いです。

と書いてポツドールに対する徹底的な不快感を持っていたのだけど、気が付いたら、大好きになっていた。出会いは最悪!でも、気になる彼…ですか。まるで少女漫画。『女の果て』を観たときにただの絶望だけじゃない箇所を発見できて、どんどん引き込まれていったんだけど、今回の『顔よ』は、ほんとうに好かったのだ。もう、降参して私はポツドールファンを名乗るよ…。くそう。だけど、最初に出た言葉は「悔しい」だった。あー悔しい。そうきたか。の連続で、私が演劇に期待していたものがそこにはちゃんとあったし、観客に誤読の余地を与えていることと、徹底的な整合性をわざと取らないことで、妄想か夢か現実かを曖昧にしているところだ。とかなんとか。こと細かにどこがどう良かったとか説明しまくれますよ。しかし、『人間失格』観ておいて助かったよ。

興味持った方はぜひ、体験してきてください。13日まで下北沢の本多劇場でやっております。
http://www.potudo-ru.com/

アニメにせよ、マンガにせよ私がおもしろいと思うものをおもしろいと思う感性の方にはハマると思います。おすすめです。すすめます。特に演劇をいままで観たことない人はチャンスですよ!そして、簡単な仕掛けに惑わされず細部までじっくり観察してみてください。この劇はただ単に不愉快な人間の嫌な部分だけを抽出しているものではないということに気が付くはずだから。あっさり解ける謎とじっくり考えない謎があります。サービスと真実。あなたは作者が隠した真実まで到達できるでしょうか。それとも価値観のジェットコースターで酔ってしまうでしょうか。どうでしょうか。どうかしら。いま観るべき演劇の一つです。