吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

『マンガ漂流者(ドリフター)』第16回:マンガ家らしくないマンガ家・タナカカツキの仕事vol.1


満を持してタナカカツキです。

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さりげなく(ぜんぜんさりげなくない)、新装版「逆光の頃」とアップリンクのDVDを宣伝してますが、どちらもファン必見!特にガビンさんの文章はほとんどカツキさんのことを言い当てていて読むたびに書くことがないんじゃないか、と打ちひしがれますが、そこは敢えて書いてみて、違う視点が見つかればと思ってます。実はいろいろ調べてみて、発見があったのですが秘密です。書こうかと思ったんですが、野暮なのでやめました。ギャグに説明を入れるほど無粋ではない。よく調べると面白いし、よく調べなくても面白いというのは理想的。

ほとんどマンガの文脈で評されないカツキさんですが、それには理由があって、伊藤ガビンさんが言葉にしているからというのと、マンガ以外の活動をしすぎていて活動が把握できない、という2大カツキ問題がありまして。私はココにシビれるわけですが……。あんまり人に憧れたりしないのですが、カツキさんと水木しげるは別格……。あんな風になりたい!あんな軽やかな人間になりたい!と思います。

というわけで、人間的な魅力に満ちたカツキさんのマンガを「マンガ」として、フラットな視点で読んでも、めちゃくちゃ面白い!何故、面白いのか、それでもってカツキさんのこだわる「マンガ」って何でしょう、というところに着目して書き進めるつもりです。というわけで、第一回は意外にも「ビッグコミックスピリッツ」「モーニング」と超メジャー誌でデビューしていた過去を暴き(いやな連載だな)、単行本未収録のデビュー作を白日の元に晒し(ほんとにいやな連載だな)、ここからパルコが90年代に発行していた伝説のフリーペーパー「GOMES」につなげていくという、90年代青春時代を送った人にはたまらなく、知らない人には「狂ってる!」と呆れるような展開になりそうです。近すぎない距離にいて、単なる読者であった私だからこそ書けるというものだ!

これまで紹介してきたほかのマンガ家もそうですが、マンガ家になってからの活動が15年以上の兵ばかりです。私も表現活動をはじめて15年になろうとしているので、彼らの歩んできた人生を振り返りながらこれから自分はどの道に進めばいいのか、指針を求めているという……。切羽詰った身につまされる理由で続けている連載!という事実に気がつき、最近、また楽しくなってきました。浮き沈み激しいけど……(おもに、こんなことしていていいのかーっ!なんでマンガにこだわってるんだ自分はーっ!という自問自答でジタバタすること3日に1回。激しすぎて青あざだらけ)。

実はタイトルはいつもアップリンクのスタッフが考えてくれていて、特に自分も問題ないときはそのまま使っているのですが、今回、「仕事」というワードを入れてくれていて、自分で読み直して「おお、そうだよ!」と膝を打ちました。仕事の向き合い方という切り口で読んでみても面白い。というか全方向で面白い。

このカツキさんの軽やかさ、仕事に対する他者評価と自己評価のバランスの妙さとか、私は「サマースプリング」の表紙でイラストをお願いしたとき(さりげない宣伝ではなく、事実です)におしゃべりしてくださったことや、新装版「逆光の頃」の座談会に参加して、けっこう腑に落ちた部分がありました。

その後も狂ったように「タナカカツキ」でエゴサーチしまくったりしているわけですが、そのたびにネット上にインタビューが無数に存在し、知らない連載がばんばんはじまり、どんどん変化し続けているという驚愕の事実に戦くばかりです。この全貌のつかめなさ!だって、今、サウニストとか言ってるんだよ?知ってましたか?何、サウニストって!?

もう、マンガ家なんてマンガだけ描いてればいいじゃない!という封じ手を無視した、自己増殖する作品群!マンガ家の「王道」から思いっきり外れている!だからこそ、「サブカルチャー」枠に入れられて「何だかよく分からないもの、だけど面白い」という絶妙な位置!そこにシビレゥあこがれるゥ!なわけですが、でも、だからこそ、マンガ家なんだ。だとしたらマンガ家って何!?と、頭が混乱してくる禅問答がはじまりました。さらっと終わるつもりだったんですが、またもや大河になる予感……。

お楽しみください。