吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

http://www.velvetsun.jp/new-events/2017/1/18/118-x-
文筆家/即興演奏家である男女が、書き言葉を舞台上で引き裂き、揺らめかせようとする試み。

【出演】大谷能生吉田アミ・榎本櫻湖
【開場】19:30
【開演】20:00
【料金】2,500円(1ドリンク付)

榎本櫻湖(えのもと・さくらこ)
詩人。1987年生まれ。2007年より詩を書きはじめ、2011年第49回現代詩手帖賞受賞。著書に2012年『増殖する眼球にまたがって』(思潮社)、2014年『空腹時にアスピリンを飲んではいけない』(七月堂)など。また三軒茶屋にあるイベントスペース四軒茶屋にて、定期的にイベント『サクラコの部屋』開催。これまでに、芥川賞作家の滝口悠生や仲良しの詩人たちが出演。朗読パフォーマンスも精力的に行っている。

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 それぞれが即興演奏家パフォーマーとして、そして同時に批評/小説/エッセイの書き手として、音楽と文学の領域を横断しながら独自の活動を続けてきた吉田アミ大谷能生。彼女/彼は二〇一〇年から<朗読DUO>として、笙野頼子夢野久作ラフカディオ・ハーンらの小説を取り上げ、即興演奏のステージ上でそれらの言葉を揺らめかせ、引き裂くことで、声と文字と演奏とのあいだに新たな関係を見出す試みをおこない続けてきました。

 近代小説の前提である「黙読」というシステムによって書かれた言葉を、それ以前の共同体的な読みの状態に戻ることなく――つまり、いわゆる「朗読」のやり方ではなく――、90年代後半から試みられてきた(ハードコアに個人主義的な)日本のあたらしい即興演奏のマナーと倫理とに接続することによって、まったくあたらしく響かせることが出来ないだろうか? このような無謀とも言えるアイディアから、<朗読DUO>は、はじめられました。

 吉田アミの<ハウリング・ヴォイス>は、そもそも声の言語的使用・意味の伝達をまったく排除するところから形作られたものであり、大谷の楽器であるサックスは通常発話と同時に演奏されることはありません。胸と息と喉と声帯を使用しながら、その機能を言葉を伝えることとはまったく異なった状態に育て上げてきた即興演奏者が、その回路を通して、あるいは放棄して、ひとつの言葉を同時に読む。その言葉は、男性の声と女性の声のあいだで宙に釣られ、書き言葉がもともと持っていた「語り手の不明」さを明らかに示しながら、ひとつのものが同時に複数である経験をわたしたちに示してくれます。これまで清澄白河SNAC、浅草橋パラボリカ・ビス、アサヒ・アートスクエア、西麻布スーパーデラックスなどで試みられてきた彼女/彼らのステージは、現代文学/音楽の極端なオルタナティヴとして高く評価されてきました。

 2015年にはキッドアイラックホールにて、舞台作品『Re;D』を上演。同作は(Googleドライブの共有機能を駆使して)二年間にわたって書き継がれてきた長編小説『Re;D』(未発表)を元テキストとし、ダンサー/振付家の岩渕貞太、ファッションデザイナーの有本ゆみこ(SINA SUIEN)、そして映像作家の斉藤洋平(rokapenis/VEJ)との共に作られました。チラシのデザインには戸塚康雄(nu)、冒頭の朗読は危口統之(悪魔のしるし主宰)が担当し、話題となりました。その後、2016年は1年間お休みをいただき、今回より再始動となります。記念すべき第1回目となる1月18日にはゲストとして、詩人の榎本櫻湖さんを招き、ライブと言葉と音楽について、また声と性について、トークを行います。今回、朗読DUOのテキストは初心に戻り、能生たっての希望で自著の『サマースプリング』になりました。今年発売から10年という節目の時。ぜひ、お越しください!

 

 

サマースプリング [文化系女子叢書1]

サマースプリング [文化系女子叢書1]