吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

KAWADE道の手帖「武満徹 没後10年、鳴り響く音楽(イメージ)」に寄稿しました


http://www.kawade.co.jp/np/isbn/4309740146

KAWADE道の手帖武満徹 没後10年、鳴り響く音楽(イメージ)」
A5 ● 192頁
発売日 2006.09.26
発行日 2006.09.30全集・シリーズ
タケミツトオル

定価1,575円(本体1,500円)
ISBN 4-309-74014-6 ● Cコード 0073
○在庫あり

映画音楽、美術、文学、実験工房、万博……20世紀を代表する作曲家にして偉大なるモダニスト、“タケミツ”の素顔を振り返りながら、世紀を越えて今なお響き渡る彼の音と戦後日本文化の地層に迫る。没後10周年記念企画。

 武満徹を私が意識したのは九里洋二のアニメーションの音楽くらいで現代音楽のエライ人くらいの認識しかなかったのだけど(ってひどい書き方だな!ちゃんと主要作品は聴いてたけど音だけしか知らなかったんです)、これを書くためにいろいろな資料を読み、あらためて、武満徹と対面した。私の人生においてグッドなタイミングだった。武満徹も遺伝性の病の悩みを抱えており、病気との共存方法に学んだり、励まされたり、<声>に対する姿勢に共感したりした。自分で自分の作品を批評してしまうところも似ている。死を意識しているとさまざまなことがまどろっこしくなる。誰かの言葉を待つ前にすでにそれを否定していく自分を見る。次へとあせる気持ちがはやる。変化していくことを望み、好奇心に駆られ、今ではない何処かへと突き進もうとする前衛精神(勝手に命名)。匿名の声というのは何なのか。パーソナリティーから逸脱する作品とは何なのか。そして、それを目指す理由は? というようなことが書かれています。

 ちなみにこれを書いたのはほぼソクーロフ、「太陽」のオフィシャルブックの原稿やストロベリーショートケイクスのサウンドトラックに寄せた原稿と並行しているので、全部、通して読んでみると何らかの影響があったりして。もちろん単独で読んでもいいのですが。そうなってくるとまあ、今まで書いた原稿なんて全部、どっかしらで繋がってる。書いてるのは間違いなく自分自身だからな。まったく別で切り分けることなんて出来ないのであった。

 書店で見かけられましたらぜひ、手にとって見てください。

大体が即興というものが陥る一番具合の悪い点は、自分をくり返す、自分を模倣するってことですよね。

武満徹寺山修司ユリイカでの対談より