吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

ハヌマーン、一つ(モノ)に

様々の文字(グラマ)を組み合わせた猿(モノ)、それは言葉の腰の強さと音声、意味上の細工を何回となく踏まえて初めて現われる。
詩人の表意文字、宇宙の変貌(メタモルフォシス)の支配者/従僕、物まね猿、反復の芸人で、自然を模倣するアリストテレス的言葉の地下に埋葬された爆発性の種子、自分の種子を蒔いてくれる人を待つような植物には決してならず、別の植物、いつも別の植物になる。性的な果実と変質性の食中花が唯一一本の同一性の茎から生えてくる。

オクタビオ・パス『大いなる文法学者の猿』(清水徳男訳、新潮社《創造の小径》)より