吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

『今まで議論でまけたことがない』とか、『どんな相手でも論破できる』とか自慢げに話している奴を見ると、馬鹿じゃないかって思うんだよね」

「どうしてだ」
「相手を言い負かして幸せになるのは、自分だけだってことに気づいてないんだよ」
(魔王/伊坂幸太郎

って一文をhttp://replica-love.jp/sayonana/archives/000513.htmlを読んで思う。津田さんや実験さんがの優しさは前も書いたと思うけど私は好きである。多分、この二人はやる気をそげたクリエーターという人を知っている。そして私も経験として知っている。残念ながら本当に才能だけしかないクリエーターというのはいるのだ。それがどれだけ異能か。キチガイと天才は紙一重。

【関係ありそうリンク】http://d.hatena.ne.jp/amiyoshida/20050522/1116719995
http://d.hatena.ne.jp/amiyoshida/20050519/1116495842
http://d.hatena.ne.jp/amiyoshida/20050519/1116498727

わざわざ「愛」なんて擦り切れて陳腐な言葉を書き連ねたくなるほどだ。

私はどうすればハッピーなのかを考えるとotsuneさん実験さんみたいなユートピア思想があってもいいし、過激に殺伐とした思想があってもいいと俺は思ったり - import otsune from Hatenaの意見に賛同していて、結局はクリエーターが強くなったほうが早い。多分、批判や批評に耳を塞ぐよりもその批判や批評を書いてしまうその行為の根元に愛があるのだと意識(誤解?)したほうが手っ取り早いと思うのだ。批判や批評を駆逐することはもう、不可能であろう。ならばクリエーターが「強く」なるしかないのである。その時、指針になる方法論を模索したほうが良いと思う。それで、愛のことを書いた。のです。

今さらネットとか無視できない。
自分が楽しい幸せな世界は自分で築くしかない。
誰もあなたのことを無視していない。
愛しているから、書くのだと、誤解するくらいの図太さがこれからは大事。そして、いいと思った人はその人がくじけないようにわざわざ言葉にして、声を大にして言うべき。意外とそんな些細なことでモチベーションは上がります。あなたと私は無関係ではなくって、ちゃんとつながっているんです。

あなたの言葉が誰かを救うし、あなたの言葉が誰かを殺す。

殺すことも、ある。

君は気軽にその言葉を吐きすぎていないか?
ちゃんと責任を持って、ちゃんと自分の言葉で言ったのか?
誰かのセンスを丸コピーして血を流す覚悟もなく放言しただけではないのか?
自問自答してみてもいいんじゃーん?

言葉の力はあなどれない。
だったら私は生きる未来を希望する。未熟な者を馬鹿にしない未来を希望する。

さて、前回、みつけられなかったエスパー魔美を引用しよう。第一巻収録の「くたばれ!評論家」より。

パパの絵をボロクソに言う評論家の批評を読んだ魔美は泣きながらパパに「ひどいひどい!」と訴え、部屋へ駆け上がる。コンポコも怒ってその雑誌をびりびりに破く。パパは「マミ公め、まるで自分のことみたいにおこってる。・・・うれしいなあ。」としんみりと呟く。

魔美は酷評した評論家の事が許せない。
「そうだわ!!断固、抗議すべきだわ。」と家を飛び出す途中、高畑さんに会う。
高畑さんにことの顛末を話す魔美。高畑さんは「いみないなあ・・・(中略)だって、その人はそうかんじたから、そうかいたんだろ。抗議されたからって、訂正するわけでもないし・・・」と魔美をたしなめる。
でも「それで気がすむんならいっといで。」と送り出す。

評論家の家に着いた魔美は評論家に詰め寄る。
「(あなたの書いた批評は)批評とはいえないわ。がらの悪い悪口です。(あの絵のモデルは)あたしです。パパがあの作品にどんなに情熱をそそいだか、よくしってるんです。学校づとめのかたわら、ねる間もおしんで・・・・それを・・・それをあなたは!情けようしゃもなく・・・」

評論家は言う。

その一!情けとかようしゃとか、批評とは無関係のものです。
その二!芸術は結果だけが問題なのだ。たとえ、のんだくれて鼻唄まじりにかいた絵でも、傑作は傑作。どんなに心血をそそいでかいても駄作は駄作。

と一刀両断!魔美はぐうの音も出ず、すごすごと帰ろうとするが、それではささくれだった気持ちが収まらない。だから、評論家をこらしめようという正義から評論家の原稿をむちゃくちゃにしてしまう。

ささやかなしかえしで、ちょっぴり気がはれたわね。悪い人には天ばつが下るって、ほんとだよね、パパ。」と言う魔美。

しかし、パパは魔美の望んだ答えとは違う返答をする。
「マミくんそれはちがうぞ。公表された作品については、みる人ぜんぶが自由に批評する権利をもつ。どんなにこきおろされても、さまたげることはできないんだ。それがいやならだれにもみせないことだ。」と。
魔美は「でも、さっきはカンカンにおこってたくせに。」と、パパの感情に同情する。

剣鋭介に批評の権利があれば、ぼくにだっておこる権利がある!!あいつはけなした!ぼくはおこった!それでこの一件はおしまい!!つまらんことにいつまでもこだわってないで、さっさとわすれないさい。」

はっはっは!この明快さ!どうでしょうか?
最後に言う、パパのセリフもすごくいい!

「ばかいえ!そのうち、あいつにもけなしようのないすばらしい絵をかいてみせるさ。」

と。批評家と表現者の蜜月。私はその未来を夢想する。こんな風に思えればきっとみんながハッピーになれる。月並みですが、みんなで幸せになりましょう!私は最近、わざと口に出して唱えてみる。そういう世界を夢想する。豊かな世界を望む。願い、祈る。自分だけが幸せな世界なんて不毛である。




追記>以下、引用文献をさりげなくアフィリエイトするので興味のある方は是非、買って読んでみてくださいー。親切設計。今回の伊坂すごいよーまじでー。もうちょっとで読み終わるので読み終わったら感想書こー。寝かせておいたんだけど(笑)いいタイミングで読んだなあ。シガテラの最終回とかと自分の中でつながってきた。要約するとニヒリズムのあとに来るのはファシズムだって話っぽいですが、オチのつけ方までわからないのでまだ、謎です。

【引用文献をさりげなくアフィリエイト
小説現代特別編集 エソラ [esora] Vol.1 2004.12 Kodansha mook
伊坂幸太郎 (著), 吉田修一 (著), 真鍋昌平 他 (著)
言葉と、絵と、空想力と。ピュアな「物語雑誌」。小説に、漫画に、物語に、何かを変える試みを!! マニア向けにならない、潜在的な物語好き読者を対象とした若い世代へ向けた新しいかたち――。


エスパー魔美(1)/小学館コロコロ文庫
藤子・F・不二雄 (著)

アニメ化もされた大人気コミック。
どーでもいいが、高畑さんとパパがカッコイイ!がママの影は限りなく薄いのであった。

【参考リンク】エスパー魔美Fan Site MAMI WEB