吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

すごくいい血管をしていますね

 先日、また病院で採血された。あらかじめ、「よく血管が細いと言われて採血しにくいといつも困られるのです…」と事情を説明。また、いつものとおり、何度も針を刺されるのだろう、やれやれと諦めに似た気持ちになりながら、注射の針が挿入されるのを待つ。若い女性の看護師の方は私の腕を一瞥し、アルコール綿で何度か拭き実に鮮やかな手つきであっという間に採血をしてしまった。一発で、だ。私は驚いた。前回、5箇所も刺されて死にそうになったことが嘘のようだ。そして、その看護師さんは「確かに捕まえにくい血管ですが、とても丈夫なすごくいい血管をしていますね」と、言ったのだ。
 私は生まれて一回もそんな風な言葉をかけてもらったことがなかったので、危うく泣きそうになった。私の血管といえば、欠陥品だという後ろめたい気持ちがずっとあった。いつも私の細いという血管のせいで失敗をして、血管が細いから痛い思いをする、内出血する、手が痺れる、一番痛い箇所に針を刺される。それは全部、私のせいだと言われ続けていたのだ。なのに、この人ははじめて私の血管を誉めたのだ。
 私は嬉しかった。そして、患者が不安にならないように配慮するこの看護師の方のプロ根性を素敵だと思ったし、カッコイイなと思った。病人なんてみんなちょっとナーバスになっているのだから、こんなちょっとの気遣いがものすごくありがたくなるのだ。自分も絶妙なタイミングで言葉をかけれるようになりたい。気遣いがないよりはあったほうがいいなと思いました。ビバ!血管。