吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

講談社BOXパンドラ Vol.2 SIDE-Aに寄稿しました


パンドラ Vol.2 SIDE-A(2008AUTUMN) (2)

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『雪ちゃんの言うことは絶対。2 何でも持っていた、夏。何も与えたくない、春。』 吉田アミ・イラスト/ロクニシコージ
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!となった人はかなりのマンガ通!「マンガ読んでる?」でも取り上げたロクニシ先生がイラストを! 異色作「すべて射矢ガール」「こぐまレンサ」を描いた以降、お久しぶりですおかえりなさいその筆、健在! といわんばかりの気にかかってしょうがない挿画を描いてくださいました。講談社BOX講談社のはみ出し者の流刑地みたいなとこですが偶然、ロクニシ先生の前担当の人が編集に!? という奇跡。ちなみに編集部には私が寄贈(万置きとも言うが)した「こぐまレンサ」と編集部用に購入したやつと計4冊もあるという異常さ。プレミアついてますが古本で見つけたら即、ゲットしていただきたい隠れた名作なのですよ。って、ロクニシ先生の紹介ばかり書いてしまいましたが、連載枠に入っていないのに勝手に物語りも2回目になり不穏さの伏線ばかりが目立つまま「回収しないのかよ!?」というツッコミが幻聴で聞こえてきそうですが、もうしわけないけどもうちょっとつきあってもらいますよ。実は元々、前回1本読みきりの予定で書いていたのですが、「次も……」と話になったときに1日でいっきにプロットを考えたものでした。で、同時にその続きまでプロットは考えたという。それで、あとでルール決めしたので(笑)整合性が取れないかなーと思ったら、取れているので驚きました。過去の自分、グッジョブ! やりたいことはすごくあるんですが、表現力がついていかないもどかしさと、どうしてもラストが唐突になりがちで(なんか終わりが見えたらすぐに走り出す)難儀してますがこういう苦悩はとても楽しいのだ。物語は自由。何をしても何を書いてもいいと思うとうきうきします。はっきりいって、破綻する可能性も多分に含めているリスキーな設定なんですがもう、どうせなら誰にもわからなくていい! 解読不能でもいい! いや、やっぱ気がついて! ココとココがね……。とか説明しそうになるのを我慢したりしてます。説明しないと楽しめない物語はよくないので、もう、読んでもらって判断されるしかないですよね。実にシンプルです。気持ちいい! というわけでパンドラの中で一番、変だということは自覚してます。そして、相変わらず煽りがキツイ! あれは編集部で考えてもらってるんですがあれを読むたびに「へぇ。吉田アミってそういう人なんだ……」と空ろな目になっていきます。あ、そうだあと袋綴じでコボカフェへのコメントも書いてます。私はコボカフェにはかなり通ってたほうだと思うよ。。。毎週、友達を連れて行っていた気がします。コーヒーはユヤタンコーヒーが一番、好きでした。あれは今ない味。なんか楽しいことがおこるような実際、毎回おこっていたような場所でした。見知らぬお客さんと知らないまま話し込んだこともありました。ただ、隣に座っただけだというのに。窓から夕焼けを眺めたこともありました。虹が見えたこともあるんです。ゲジゲジが大量発生したこともありました。太田さんはなんでいつも革ジャン着てるんだろう……と疑問に思ったこともありました。渡辺先生が満面の笑顔で入れてくれるコーヒーを待つ時間が好きでした。ばったり友達にあったことも数知れず。ちょっと昔あった伝説の「パリペキンレコード」にも似たフラットな雰囲気があって、落ち着いた。なんか大丈夫だよ、と言ってもらってるような。自分が学生だったらもっと通ってたと思う。なんか場所自体が雑誌ぽかったよね。講談社BOXの本と作家の選んだ本と勝手にみんなが万置きしていった本が並んでいて、そこに並んでいる理由が「偶然」なんだからたまらない。『nu』と『エクス・ポ』がコボカフェにあるっておもしろい!でも、けっこう書いてる人がかぶってるとこもあるんだよ、気がつかないだろうけど。とか思ったり。時代性というのは失われたように思うけど失っているわけではないんだよね。でも、読者層ってあんまかぶっていない印象。なんか、これはサブカルだからオタクだから関係ないとか言って、楽しもうとしないで決められた楽しみ方で決められたようにテストみたいに作品を読むのはつまらないんじゃないかと思う。書き手が送り手がその先の読者を信じなくなったら終わりなんだよ。終わっていいんだよ。やめればいいのに。ああくだらないなあと残念に思うことが多いけど、残念ながら自分の周りの大人たちは良い意味でバカで熱くて過剰で根拠もないけど肯定するという回路ができているのでいろいろ関わっていていて、勇気が出る。なんだ世界も捨てたもんじゃないじゃん。と少しでも思える。これは幸せ。必死で探した孤独と絶望があったから感慨もひとしお。希望は針の穴ほどのサイズで。でも、ないわけじゃない。信じよう。信じられない。無理だ。だけど。の繰り返しで人は成長する。

フレームを越えて行こう。まだ見ぬアタラクシアを目指せ。