インターネット攻略法(途中書き)
あんまりネットをやらない人と話していてイライラすることってあるでしょう。私はあります。具体的に言えば「北海道の県道庁所在地はどこ?」みたいな質問です。答えは決まってます。「札幌市」です。ググれば数秒で出てくる答えです。問題に解答がある場合、一人一人の意見を訊くのは時間の無駄です。人間の記憶ほど曖昧なものはない。意見じゃなくって答えが知りたいのですから、正解の情報にあたるべきでしょう。
事実と個人的意見の境界線が曖昧になるととても、面倒です。
まず、日本語を正しく使うところからはじめないと、誤解を生みます。間違った単語を使っていないでしょうか?知ったかぶって難しい単語を使うときに陥りがちです。よく指摘される「的を得る」という言葉は間違いで「的を射る」だなんていいますが、この際、そんなことはどうでもいいです。多くの人が的を射ると的を得るを同じ意味で使っているなら、まず、問題はありません。この場合、的を射るとは、的確に要点をとらえる、ということです。
さて、日本語を理解して物語のあらすじを読んだら、さっそく町に繰り出してみましょう。町に出て、情報を収集するのです。この世界がどういうところなのか認識しましょう。ここで情報収集を怠ると大変な目に合います。目的がわからなくなったり、キケンな場所へ知らずに足を踏み入れたり、手に入れなければならないアイテムを取り忘れて困ったり…。この第一段階の情報収集を手を抜くとロクなことはないでしょう。しっかり、人の意見は訊いておきましょう。時には犬がきゃんきゃん言ってたりしますが、あとで動物の言葉がわかるアイテムを取ってから戻ってくると重要なことを言ってたりするので、心に留めておきましょう。無駄な言葉などないのです。情報を仕入れたら、冒険のはじまりです。フィールドに繰り出しましょう。
多くの人が認識しているイメージと自分がイメージしている認識とは違う時があります。誰しも自分がこの物語の主人公・勇者(スタンダード)だと思い込みたくなるものですが、実際、そのスタンダードだと認識するに至った情報や材料が少ないと偏った意見、個人的意見でしかないという事実を直視すべきでしょう。気が付けば勇者などではなく、雑魚キャラだったりしますから注意が必要です。この偏った情報をさも、正しい情報のように書くとネットなら必ず叩かれます。バカにされます。対応を間違えたら立ち直れないくらいの攻撃を受けることもあります。そんな無慈悲で膨大な知識と経験豊富なレベル99のモンスターを呼び寄せてしまう可能性が多々あるので、なまくらで皮の装備の時期(情報や判断材料が少ない時)に相手に対峙した場合、逃げるか、仲間になってしまうのが賢明でしょう。もしくは自分は武器を持っていないアピールをしてしまうのも手です。「個人的な意見ですから」という回避の呪文を唱えるか、早々に白旗を揚げている者に暴力をふるえば違うモンスターがそのモンスターを倒しにやってきます。天然の浄化作用です。オソロシイところに来てしまいました。
さて、このレベル99のモンスターは、強さゆえに畏れられがちですが、よく見てみると案外とかわいい顔をしている場合が多いです。イキナリ敵意を剥き出しにしなければゲームと違って友好な関係が築けるでしょう。モンスター君もスライムばかりを斬っていてもレベルが上がらないことを知っているのでできれば相手にしたくないと考えていますから、逃げるのもカンタンです。ようは自分の身の程知りながら、臨機応変な対応をしていくのが生き延びる秘訣となるのです。
もちろん先制攻撃が得意なら、相手に一撃、カウンターを食らわせることもできましょうが、回避能力やライフケージが低ければ次のターンで瀕死は確実。死なないためにも、まずは自分のレベルを知ることが必要なのです。しかし、このゲーム設計者は意地悪です。パラメーターが見えないようになっていますから、自分のレベルも相手のレベルもわかりません。わかるためには誰かと出会って、対峙して、確認していくしかないようです。
モンスターとの出会いを避けたいなら、無限のフィールドに出るべきではないでしょう。似たレベルの者同士、戦ってレベルを上げ、自信を持ってから出陣するのがいいでしょう。それでも不安ならパーティーを組むのもいいかもしれませんね。しかし、パーティを組むと一人で戦ってる猛者に「あいつら馴れ合いだぜ」「身内同士擁護しあって」などと嫉妬されるでしょう。これをネット用語でけらましいけまらしいと言うらしいですよ。
なるべくならパーティは組まないほうがほんとうは得策です。パーティを組むと攻撃を事前に避けられたり、連携プレーも可能になりますが、パーティー以外の人と仲良くなれないので、レベルが上がらなくなります。たまにはパーティーの仲間で焚き火を囲んでオフ会をすることもあるかも知れませんが戦場では下手な庇い合いはしないほうがいい。もし、一緒になって自爆君にやられた時、責任の擦り付け合いになるのがオチ。あらかじめ仲間なんか作らないほうが良いです。自分の身は自分で守る、これが鉄則です。
しかし、拒む拒まないにしろ、気があってしまったらパーティを組みたくなるのが人の常。そういう場合は戦闘のない世界へ行きましょう。ここでは足手まといになるだけです。他所でよろしくやってろってことです。見えなければ気になりません。
もちろん、フィールドにいる者すべてが敵ではありません。慈悲の心のあるモンスターの中には頼まれもしないのに情報を整理して教えてくれたりします。それがけっこう意外だったりして、ついこの好意の裏には何かよからぬたくらみがあるんじゃないかと疑ってしまいますが、モンスターも所詮、人の子。そこまで悪意に満ちている人は稀でしょう。それに悪意からこようが善意からこようが自分にとって必要な情報ならありがたくもらっておく図々しさも必要です。
もともと、モンスターは皮の装備のなまくらに優しくしたいと考えています。よせば良いのに自分が同じレベルだった時を重ねたてきたりします。また、強くなりすぎると細かい部分が見えなくなります。鈍感になります。頭の良すぎる人に説明ベタが多いように、強い者とばかり闘っていると召還魔法しか使えなくなって意味もなくMPを消費して無駄が多く、結果、魔法回復アイテムばかり常備しなくてなならなくなるので不経済でなのです。だから時々、誰かに説明する、教えることをしないと、頭のいい人にしか通用しない言葉しかしゃべれなくなるでしょう。小難しいモンスター語は敬遠されます。理解される前に「あの人モンスターだから…」なんて言われて誰とも出会わないで荒野を彷徨わなくてはなりません。モンスターは孤独で泣いてしまいます。パオーン。
そんな強くなりすぎたモンスターを見つけたら無邪気に近寄りましょう。「ねぇねぇこれなあに?」なんつって、久しぶりに声をかけられたらモンスターはうれしくなるでしょう。話し掛けてもモンスター語でわからない場合は、はっきり「わかんないです」と言ってしまいましょう。そして、なるべく自分にわかりやすい言葉に例えてもらいましょう。真のモンスターなら、きっとあなたの意に答えてくれます。そんな好意に甘えてしまいましょう。敵対しても仕方がないのですから。その方がお互い得をします。もちろん感謝の気持ちは忘れないで。むしろ、感謝の気持さえあればなんでもしてくれるのがモンスターです。伊達に優しい目をしていません。
そんなふうにして、曖昧な情報を軌道修正させるという点においてネットは優れているといえましょう。って何の話だこれは。