【寄稿】フリースタイル48 短篇マンガの秘かな愉しみ
安定して売れるという理由で長編マンガばかりが目立つのは出版不況だ何だのというのはかんたんだ。そりゃあ、知ってる作品を末永く読みたいだろう。まあ、その合理的な損のないやりかたはわかる。だが、それだけでいいのだろうか。みんなが読むおもしろいマンガだけがマンガではない。一気に読み切ってしまえる、短編マンガには無限の可能性があっった。なんでもありの。今や誰もが知らぬ大御所も新人だった頃があるわけで、初投稿作がそのまま連載になるというケースは稀だ。よっぽどの天才ではない限り。みなはじめは短編マンガを描く。短編マンガとは新人発掘の場でもあったのだ。読む者は拙さや未熟さの中に今までにはないものを見出す。玉石混交の雑誌が低迷する現在はその役割をWebへと移している。
しかし、マンガのフロンティアでもあった短編マンガを今一度、読み返していこうという今回の「フリースタイル」のこの企画! 痺れましたね! 寄稿しておきながらだけど、自分はなるべく人とかぶらないようにと気をつけながら自分らしい作品を選び、紹介するぞ! と気合が入った。年末のベストランキングではない。それはたった1年だけのお祭りなんだから。そうじゃないものを、そうじゃない、これからもずっと、永く、求められるものを。それは完成ではなく未熟の発露であるべきだという確固たる意思で、選んだ。わたしはけっこうそういうところがある。だって、そうじゃないと未来なんて見きれない。
なんてったってすごい数の書影! それを見てるだけで楽しいのだが、自分が選ぶのを躊躇った作品が載っているのもすごい興奮した。どの作家の作品が一番選ばれたのだろうとか気になったりしつつ。他では絶対できない企画で素晴らしいです! というわけで、わたしが選んだ作品をピックアップしておきます。コメントは本誌で!
「桶の女」華倫変
「うそつきサマー」 冬野さほ
※絶版です。
「蔵六の奇病」日野日出志
「太陽と骸骨のような少年」
ちなみに自分は絶版になっているNTT出版版で読みました。装丁がめっちゃ豪華だった。高校生の少ないお小遣い&バイト代でよく購入したなと思ってます。昔は帯が嫌いですぐ捨ててたんですがいまはすごく後悔している。
「お陽様なんか出なくてもかまわない」多田由美
こちらも1988年に発売されたあすかコミックス版で持ってます!自慢でしょうか。自慢でした。
「ロングロングケーキ」大島弓子
こちらは大島弓子選集と文庫どっちも持ってますね……。選集がやっぱ便利なんですよね。作品探すのに。辞書のように使ってます。
「アリスにお願い」岩館真理子
「水道眼鏡殺人事件」鈴木扇二
自分の原稿から画像を持ってくる始末!
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