吉田アミの日日ノ日キ

吉田アミが書きました。

『ユリイカ2006年 9月臨時増刊号』総特集*稲垣足穂

 久しぶりにユリイカに寄稿しました。

稲垣足穂
定価2,200 円(本体2,095 円)
ISBN4-7917-0152-6
ユリイカ2006年 9月臨時増刊号』総特集*稲垣足穂  

【はじまりの稲垣足穂
「美しき学校」を巡って / 高橋信行
稲垣足穂新発見作品10篇】
誇大妄想十一編
学生論を読みて
青谷のおち葉
桑畑のなかの村
姉さんと私
雲を消す話
鳩座から来た人
ロング君とショート氏の話
赤と青
椿實の快速調

タルホ座新星群 稲垣足穂新発見作品解題 / 垂野創一郎

【鼎談】
彼等、すなわち足穂とその眷族 / 加藤郁乎+松山俊太郎+渡辺一考

【エッセイ】
レーモン・ルーセル稲垣足穂 / 岡谷公二
蝙蝠飛ぶ柳の下にタルホとハルオは出逢ったのか / 扉野良人
タルホエンジン / 津原泰水
僕らの世界は未だに稲垣足穂と繋がっているのだろうか 「アイラ」 / 香川眞吾
足穂=オタク女子 / 金巻ともこ

【言葉のオブジェ】
白と黒のアナグリフ / 吉田アミ
タルホ・ミーツ・アツスケ。 / 田中宏
タルホラマ / 未生響

【対談】
オマケ派宣言 / 荒俣宏あがた森魚 司会=香川眞吾

【論考】
未来派から『弥勒』へ / 宇野邦一
PH / 細馬宏通
STAR―STRUCK c/wチョコレット・クローゼット / 太田晋
計算論的、足穂的 タルホ・エンジン仕様書 / 山本貴光
あまたおはする死体たち / 村田智子

【ある足穂読者】
K氏の休日 / 写真=野口さとこ

【インタヴュー】
ハイゼンベルク変奏曲」は、足穂さんの実験第一号だった / 松岡正剛 インタヴュアー=ばるぼら

【研究】
散歩者タルホ 大阪から神戸へ / 本渡章
海港都市のモダニズム 稲垣足穂と山村順 / 和田博文
第二回未来派美術協会展 (一九二一年開催)と詩人たち / 五十殿利治
弥勒が弥勒になるまで / 大崎啓造
タルホの鞄 / 寺村摩耶
哲学書は美しき肉体の如くに 再演される「美のはかなさ」 / 高橋孝次

【変換と展開】
星間問答 / まりのるうにい
ライト兄弟に始まる 第3章 私のモデルプレーン / 藤本由紀夫
カールと白い電燈 / 鳩山郁子

【紙上美術展】
A Starry Night/つきをうるみせ / 戸田勝久
キネマの月 / 大月雄二郎
TAROUPHO / 桑原弘明
TARUHO Method / 勝本みつる
ピープショーの薄い世界で / 吉田稔

【年譜・書誌】
彼自身による稲垣足穂 / 編=キネマクラブ
稲垣足穂著書目録 / 編=キネマクラブ

書いたのはかれこれ半年前なので正直、読むのが怖い!あこがれの鳩山郁子先生とユリイカで名前が並ぶとは15年前の自分に自慢しに行きたい気分です。←そんなのばっかり。

↑とか言ってましたが昨日、届いて読んじゃいました。思ったよりは悲惨ではなかったですが、今ならこう書くのに…などの、後悔はつきません。ああ。まだまだじゃよ。俺はこんなもんじゃない

↓以下は昨日、書いてた分。

今回は登場人物が出てきます。物語の断片です。全容は見渡せません。文化系女子特集では物語の骨組み(デザインレイアウト)を意識しました。誰も知らないし、知っても意味不明ではありますが。ちなみにムーンライダーズ特集の時はほぼ自分の自伝みたいなものでした。読むと当時の記憶がフラッシュバックするよ。

今回の原稿は、「本は白と黒しかないのだろう。タルホの言うココア色なんて書物の中にあるのだろうか」という問いから書きはじめたんだよね。今だったらもうちょっと違うかたちで書けた気がする。すごい勢いで変わっていってるから。文体とか、整理の仕方とか、構成のクセとかが。さすがに、安定してきたが。
自分の未熟さを痛感するばかりですが、その時の精一杯だったからしょうがない。でも、この感覚はソクーロフ「太陽」オフィシャルブックにも生きてて自分の中で確信となって浸透した。何もかもが影響しあって共鳴してる。影響を及ぼす覚悟はできている。

人の創作物、物語の中には神様がいる。だから、白い紙と黒いインキで世界はできていて、価値基準が曖昧ではなく、何もかもに意味がある。白黒はっきりつけられる。
グレーはない。一つの意思決定だけで存在する世界。それは人の手によってのみ作られる。人は想像の中で世界を作ることができるのだ。

現実は曖昧で矛盾だらけで思い通りにいかないからこそ色鮮やかなんだ。

放った一言が知らないうちに変容していく。意図とは別に。時々、忘れてしまうけど鈍らないように背筋を伸ばしていたい/いかなければならない。言葉は発言者に寄り添う。同じ言葉も場面や用途によって違う顔をする。見つめ、照らし出された足元に広がる影。それが言葉だ。

物語の中で言葉は必ず意味のある配置がなされなくてはならない。
だからこそ、物語は美しく濁らず純粋なんだろう。

ソクーロフが語った言葉を思い出す。

……私の思いは、人が本棚に手を伸ばすように、人が近づいてくれる作品を作ること
です……。書籍は人を必要としていません。人が書籍を必要とするのです……。

「太陽オフィシャルブック」より、ソクーロフの発言。

 なんだかんだで、わりと書いてますね今年も。ムック本が多いです。ネットランナーもなぜか毎号書いてるし。こっちは完全に昔やってたニュースサイトノリの記事で世の中に無駄だけど私がオモシロイと思うものを紹介していけたらと思ってます。
  

 来年はどこかで連載とかできるといいなあ。とか希望を書いてみたり。